令和元年「雇用動向調査」の結果を就活・転職時に役立てる

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

厚生労働省が毎年公表している「雇用動向調査」。

令和元年の結果が公表されていますので、データを引用し、その動向を見ておきたいと思います。

雇用動向調査」は、全国の主要産業の事業所における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年 齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的に、上半期と下半期の年2回実施しており、今回の 結果は、この2回の調査結果を合算し年計として取りまとめたものです。

入職率 16.7%、離職率 15.6%で、7年連続の入職超過

1 入職率及び離職率

令和元年1年間の入職者数は 8,435.4 千人、離職者数は 7,858.4 千人で、年初の常用労働者数に対する割合である入職率と離職率はそれぞれ 16.7%、15.6%、入職超過率は 1.1 ポイントの入職超過であった。前年と比べると、入職率 1.3 ポイント、離職率 1.0 ポイントそれぞれ上昇し、入職超過率は拡大し7年連続の入職超過となった。

▶︎ 企業の採用意欲の高さが入職率の拡大に繋がるのですが、大事なのはその背景ですね。業績好調で、戦略的に人手を増やしていくのか、採用しても採用しても定着率が悪くてなのか。離職率も上昇しいるところに事情がありそうです。

2 就業形態、雇用形態別入職者数

入職者数を就業形態別にみると、一般労働者の入職者数は 4,348.2 千人で、前年に比べて 102.9 千人増加し、パートタイム労働者の入職者数は 4,087.2 千人で、前年に比べて 665.1 千人増加した。 さらに雇用形態別にみると、一般労働者、パートタイム労働者ともに「雇用期間の定めなし」は 入職者数、離職者数ともに増加し、「雇用期間の定めあり」は一般労働者が入職者数、離職者数ともに減少し、パートタイム労働者が入職者数、離職者数ともに増加した。

▶︎「雇用期間の定めあり(有期雇用)」が減少傾向にあるのは、法改正(無期転換ルール)による影響が大きいでしょう。企業側は無期転換を避け、あらかじめ5年を超えない労働条件を定めたパートタイムのみ採用を採用することになりますので、今後もパートタイム労働者の入職率と離職率は高いまま推移しそうです。パートで長く同じところで働くことを希望する人にとっては、やっかいな時代になってしまいました。

無期転換ルール:労働契約法の改正により、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルール。

3 職歴別入職者数及び入職率

入職者数を職歴別にみると、転職入職者数は 5,409.9 千人、未就業入職者数は 3,025.5 千人であ った。転職入職率は 10.7%、未就業入職率は 6.0%で、前年と比べると 0.7 ポイント、0.5 ポイント それぞれ上昇した。

▶︎ 良いか悪いかその転職の理由にもよりますが、政府が推奨する大転職時代へと移行しつつありますね。

産業別の入職と離職

令和元年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数宿泊業,飲食サービス業が 1,671.8 千人と最も多く、次いで卸売業,小売業が 1,539.1 千人、医療,福祉が 1,210.5 千人の順となっ ている。離職者数は宿泊業,飲食サービス業が 1,548.0 千人と最も多く、次いで卸売業,小売業 1,468.3 千人、 医療,福祉が 1,070.5 千人の順となっている。前年と比べると、入職者数は、宿泊業,飲食サービス業が 396.0 千人増と最も増加幅が大きく、次い で卸売業,小売業が 310.8 千人増となっており、一方、生活関連サービス業,娯楽業が 51.1 千人減と最 も減少幅が大きく、次いで情報通信業が 34.2 千人減となっている。離職者数は、宿泊業,飲食サービス 業が 378.0 千人増と最も増加幅が大きく、次いで卸売業,小売業が 254.5 千人増となっており、一方、 医療,福祉が 65.2 千人減と最も減少幅が大きく、次いで生活関連サービス業,娯楽業が 48.6 千人減と なっている。

入職率,離職率をみると、いずれにおいても宿泊業,飲食サービス業が最も高く(入職率 36.3%、離 職率 33.6%)、次いで生活関連サービス業,娯楽業(入職率 24.6%、離職率 20.5%)となっている。

入職超過率をみると、生活関連サービス業、娯楽業が 4.1 ポイントと最も高く、次いで、学術研究,専門・ 技術サービス業が 3.2 ポイントとなっており、一方、電気・ガス・熱供給・水道業が-7.2 ポイントと最も低く、次いで、鉱業,採石業,砂利採取業が-5.2 ポイントとなっている。

◉ 産業別 入職率・退職率

鉱業,採石業,砂利採取業 – 入職率5.8% 退職率11.0%

建設業  – 入職率9.2% 退職率9.2%

製造業  – 入職率10.1% 退職率9.6%

電気・ガス・熱供給・水道業 – 入職率8.2% 退職率15.4%

情報通信業 – 入職率12.2% 退職率9.6%

運輸業,郵便業 – 入職率14.3% 退職率12.5%

卸売業,小売業 – 入職率16.1% 退職率15.4%

金融業,保険業 – 入職率8.2% 退職率10.7%

不動産業,物品賃貸業 – 入職率16.2% 退職率15.1%

学術研究,専門・技術サービス業 – 入職率13.8% 退職率10.6%

宿泊業,飲食サービス業 – 入職率36.3% 退職率33.6%

生活関連サービス業,娯楽業 – 入職率24.6% 退職率20.5%

教育,学習支援業  – 入職率17.6% 退職率17.0%

医療,福祉  – 入職率16.2% 退職率14.4%

複合サービス事業 – 入職率8.2% 退職率7.9%

サービス業(他に分類されないもの)– 入職率19.8% 退職率18.8%

▶︎ 入職率が上昇している場合は、なんならかの事情によりその産業の多くの企業が積極的に採用を行ってることが想定されます。入職率、離職率がともに高い場合は、採用しても辞めてしまう、辞めてしまうからまた採用する、離職者増による大量採用を慢性的に行なっているなど、人材が定着しづらい状態になっていると思われます。

就活・転職の際、気になって離職率とその理由を確認することは多いかと思います。なぜ求人しているのか、その理由もあわせて確認すると、その企業の「人」についての事情がなんとなくでも見えてくると思います。

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