有給休暇を与えなかった店長が書類送検⁈ ホントに?

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

今回は、有給休暇を与えなかった店長が書類送検されたというニュースについての話。

改正労働基準法(働き方改革の一環)施行により、2019年4月1日から10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者(契約社員、パート社員、アルバイトも)に対し、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日の年次有給休暇を確実に取得させることが使用者の義務として課せられています。

労働者からの請求により年次有給休暇を5日間取得した場合、使用者による時季指定は必要ありません。

また、5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に時季指定することはできません。

時季指定を行う場合も、使用者は労働者の意見を聞いて、その意見を尊重するようにしなければなりません。

年5日以上の年次有給休暇を取得させなかった場合、使用者に対し「取得させなかった労働者1人につき30万円以下の罰金」が課せられます。

もちろん5日以上の年次有給休暇を取得しなかった労働者には罰則がありません。(企業によっては、何らか就業規則上の懲戒規定があるかもしれませんが)

2021年7月8日、この年次有給休暇5日取得義務違反で初の送検がありました!

ポイントは、被疑者に「栄屋食品株式会社ほか3名」とありますように「法人としての使用者(会社)と店長(上司)の両罰規定」を適用したことです。

有給休暇を取得させなかったのは、会社責任だけでなく、その上司にも責任があるとし、公表された文書の文末に、「有給休暇を取得させないことは、重大又は悪質な違反行為(=犯罪)」と明言されてます。

個人としての店長も書類送検されたのです。

もしも「たかが有給休暇」だなんて軽く考えていると大変なことになりますよ(=企業名公表もありえる→ブラック企業認定!)と、厚生労働省が釘を刺すコメントです。

ちなみに、労働基準法に定める有給休暇についての罰則の中には「懲役刑」だってあるのです。
・年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合
→ 30万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合
→ 30万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合
 → 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金

有給休暇の取得は、働く人にとって尊重される大事な権利です。有効に活用しましょう!

報道関係者 各位

労働基準法違反の疑いで書類送検
〜年次有給休暇の取得義務不履行〜

津島労働基準監督署(署長 戸嶌浩視)は、令和3年7月8日、下記の被疑者を労働 基準法違反の疑いで名古屋区検察庁に書類送検した。

1 被疑者
栄屋食品株式会社ほか3名
(所在地:愛知県あま市下萱津  事業内容:給食管理業)
2 被疑条文
労働基準法第39条第7項(年次有給休暇)
労働基準法第120条第1号(罰則)
労働基準法第121条第1項(両罰規定)
3 被疑内容
平成31年4月からすべての使用者に対して、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が労働基準法上義務付けられた。 義務化の対象となるのは、「年次有給休暇が10日以上付与される労働者」であり、使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならない。
今回、被疑者栄屋食品株式会社の病院や社会福祉施設に入る3つの事業場にお いて、上記の年次有給休暇所得義務化が始まって以降、合計6名の労働者に対して1日も年次有給休暇を取得させていなかった疑いがあるもの。
4 参考事項
当署に対する労働条件に関する相談件数は、平成31年の5,264件をピークとし、令和2年は4,556件と依然として高水準で推移していることから、年次有給休暇の取得等も含めた基本的な労働条件の履行確保についても取り組んでいる。
年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされている。しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっている。 このため、前記のとおり、労働基準法が改正され、年次有給休暇を取得させることが義務付けられたものである。当署では今後とも、基本的な労働条件の履行確保を積極的に推進するとともに、重大又は悪質な違反行為に対しては厳正な態度で臨むこととしている。

引用:厚生労働省「労働基準法違反の疑いで書類送検~年次有給休暇の取得義務不履行~」

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