改正育児・介護休業法(2021年1月1日施行)について

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

2021年1月1日より改正育児・介護休業法が施行されました。

すべての企業・労働者が対象になる法改正なので、すでに周知されていることかと思います。(すべての労働者にきちんと周知されていないと、それはそれで大問題です。)

今回の改正で、すべての労働者が子の看護休暇や介護休暇を「時間単位」で取得できるようになりました。

これまでは労働者の申し出により、子の看護休暇や介護休暇を取得する場合、半日単位での取得は可能でしたが、この休暇はそもそも法律上有給の休暇である必要はなく、無給としているところが多数です。

たとえば、すでに時間単位や半日単位の有給休暇制度がある企業の場合、あえて無給の休暇を取得する必要がないようにも思えますよね。

年次有給休暇には使用者(企業)に時季変更権というものが認められています。

これは、事業の正常な運営が困難な場合、有給休暇の取得日を変更することができるというものです。

有給休暇を取らせないということが認められているのではなく、取得する時期を変更できるという権利です。

ただし、この時季変更権というのは、ただ忙しいからという程度の理由で行使できるものではなく、かなり高度な理由が求められています。

本来、労働者から有給休暇の取得の申し出があった場合、その申し出の時点で効力が発生します。

その取得時期を変えるには、企業が様々な策を検討したが事業運営上どうしようもなく、やむなく時期を変更してもらうしかない場合に限って行使できる使用者(企業)側にとってかなりハードルが高いものです。

ブラック上司やブラック企業はこの時期変更という権利を都合よく乱用しているので注意が必要です。

一方で、育児介護休業法でいう子の看護休暇や介護休暇は、いま看護や介護が必要であるがゆえに休む必要があるわけですから、上司などが時季変更をする余地は当然ありませんし、急に休暇を取得したからという事実に対して不利益な取り扱いをしてはいけないというものです。

したがって「休んでもいいですよ、でも無給ですからね」というのが、多くの企業の対応の実際でしょう。

子の看護休暇や介護休暇は、育児・介護休業とは違い、休んだ日(無給)に対して雇用保険から給付が受けられる仕組みがありませんので、できるだけ無給の休暇期間を短縮しないと賃金(生活)への影響が大きくなってしまいます。

そうした意味で今回の「時間単位」での休暇の取得は、最低必要な時間でやりくりすることで賃金減額を抑えることが可能になりますので一定のメリットはあります。

また、改正前までは「1⽇の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない」ということもできましたが、改正後の対象は「すべての労働者」になりました。

しかし、今回の法改正で求められているのは、始業時間と終業時間を起点とした時間単位休暇で「中抜け(就業時間の途中で時間単位の休暇を取得すること)」なしの時間単位休暇です。

法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるような配慮も求められていますが、新型コロナ感染予防で国が推奨する在宅勤務等新たな働き方の必要性を考えると「中抜け」も可能な法改正であるべきだったと思います。

なお、法改正以前に「中抜け」ありの休暇があった企業が、改正法に合わせて「中抜け」なしにすることは、労働者にとって不利益な労働条件の変更になります。

▼ 改正法の詳細はこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf

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労働基準法をはじめとする労働法の類いは、最低の基準を定めたものが大半です。

「法令違反にならないよう最低限の対応でいいんじゃない?」という経営者の元で働くのと、社員にとっての働きがい・働きやすさ(モチベーションと生産性の向上につながる)とは、何かを考えて対応する経営者の元で働くのと、どちらが幸福かは明らかですね。

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