令和2年度「均等基本調査」結果(厚生労働省)をチェック

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

令和3年7月30日付で厚生労働省の雇用環境・均等局雇用機会均等課から「令和2年度雇用均等基本調査」の結果が公表されました。

雇用均等基本調査の目的
男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に実施。令和2年度は、全企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度の利用状況などについて、令和2年10月1日現在の状況を調査。

調査の結果からポイントをチェックします。

皆さんの勤め先と比較してみてはいかがでしょうか。

■管理職に占める女性の割合
管理職に占める女性の割合は、部長相当職では8.4%、課長相当職では10.8%、係長相当職では18.7%。
規模別にみると、いずれの管理職割合においても 10〜29人規模が最も高く、部長相当職の女性管理職割合が16.6%、課長相当職が16.1%、係長相当職が27.2%。
課長相当職以上の女性管理職割合を産業別にみると、医療、福祉(49.0%)が突出して高く、生活関連サービス業、娯楽業(23.5%)、教育、学習支援業(22.5%)、宿泊業、飲食サービス業(19.0%)と続いている。

規模と産業に偏りが大きいですね。

■セクシュアルハラスメント防止対策について
セクシュアルハラスメントを防止するための対策の取組の有無
セクシュアルハラスメントを防止するための対策「取り組んでいる」企業割合は82.0% と、前回調査(令和元年度 80.2%)より 1.8 ポイント上昇。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000人以上では100.0%、1,000〜4,999人では 99.8%、300〜999 人では99.2%、100〜299人では97.1%、30〜99人では89.0%、 10〜29人では76.4%。

規模が小さくなるほど対策不備に不安がありますね。

■セクシュアルハラスメントを防止するための対策の取組内容
セクシュアルハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取組内容(複数回答)をみると、「就業規則・労働協約等の書面で内容及び、あってはならない旨の方針を明確化し周知している」が 69.5%と最も高く、次いで「行為者については厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し周知している」が50.5%、「当事者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、周知している」が50.2%、「相談・苦情対応窓口を設置している」が49.5%となっている。

大企業で100%の対策実施とはいえ、その内容の多くが「就業規則・労働協約等の書面で内容及び、あってはならない旨の方針を明確化し周知している」で、相談窓口の設置が半数以下となると、形だけの対策のところが多そうです。

■セクシュアルハラスメントに関する事案への対応状況
過去3年間に、セクシュアルハラスメントに関する相談実績又は事案のあった企業は5.4%。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000人以上規模では77.9%、1,000〜4,999人規模では61.8%となっている。
相談実績又は事案のあった企業のうち、その事案にどのように対応したかをみると(複数回答)、「事実関係を確認した」が 87.2%となっている。

対策の割に実績が多いのは、やはり形式的な対策にも原因があるのではないかと思われます。

■妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策の取組の有無
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」 企業割合は76.5%と、前回調査(令和元年度75.7%)より0.8ポイント上昇。
規模別にみると、5,000人以上では99.6%、1,000〜4,999人では99.8%、300〜999人では 97.4%、100〜299人では93.6%、30〜99人では 84.1%、10〜29人では70.1%となっている。

やはり、マタハラ、パタハラに対する対策は、セクハラに比べるとかなり低いことがわかります。

まだまだ課題が多そうです。

■パワーハラスメントを防止するための対策の取組の有無
パワーハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業割合は79.5%と、前回調査(令和元年度37.9%)より41.6 ポイント上昇した。
規模別にみると、企業規模が大きいほど取り組んでいる企業割合が高く、5,000人以上では100.0%、1,000〜4,999人では99.8%、300〜999人では 97.4%、100〜299人では 94.7%、30〜99人では 84.3%、10〜29人では74.7%となっている。

大企業の率が高いのは、パワハラ防止法による対策の義務化に備えての取り組みの結果でしょう。

中小企業にも遅れて義務化されますので、自ずとその比率は上がるはずです。(中小企業がなぜ遅れて義務化なのかが理解できないところではあります)

■パワーハラスメントを防止するための対策の取組内容
パワーハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取組内容(複数回答) をみると、「就業規則・労働協約等の書面で方針を明確化し、周知している」が62.7%と最も高く、次いで「相談・苦情対応窓口を設置している」が49.4%、「当事者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、周知している」が 49.1%となっている。

セクハラと同じ、規定等の周知が最も多いようです。

「見ておいて」という形式的な対策になっていなければいいのですが。

■育児休業取得者の割合
女性 : 81.6%
男性 : 12.65%

改正育児介護休業法(2022年4月1日改正)の中に、男性の育児休業の促進につながる改正(2022年10月1日施行)が含まれています。

どのくらい実効性がある改正か、注視する必要がありそうです。

育児のための所定労働時間の短縮措置等の各種制度の導入状況
育児のための所定労働時間の短縮措置等の各種制度の導入状況(複数回答)をみると、 「短時間勤務制度」68.0%(令和元年度67.4%)、「所定外労働の制限」64.3%(同60.2%)、 「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」39.3%(同 35.6%)の順で多くなっている。

前年に比べて、どれもさほど増えていないようです。

今の時代、措置の中に「在宅勤務」も検討すべきではないでしょうか。

■労働基準法に基づく母性保護制度の規定状況
(1) 産前産後休業(期間)
産前産後に関する休業期間の規定について、「単胎妊娠(以下「単胎」という。)及び多胎妊娠(以下「多胎」という。)ともに法定どおり」(単胎:産前6週間産後8週間、多胎:産前14週間産後8週間)とする事業所は92.6%(平成27年度91.7%)、「単胎のみ法定を上回る規定あり」とする事業所の割合は2.2%(同 2.0%)、「多胎のみ法定を上回る規定あり」とする事業所の割合は1.1%(同 3.9%)、「単胎・多胎ともに法定を上回る規定あり」とする事業所の割合は 3.3%(同 2.2%)となっている。

いわゆる産休の期間は、労働基準法に定める産前6週間、産後8週間がほとんどですね。

法律を上回る処遇がほとんどない点に、企業の姿勢が現れています。

■母性保護制度の利用期間中の賃金の取扱い
産前産後休業
産前産後休業期間中の賃金を「有給」とする事業所の割合は24.7%(平成27年度 18.5%)で、そのうち 60.7%(同 63.9%)が「全期間100%支給」としている
育児時間
育児時間中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 25.3%(平成27年度17.4%) で、そのうち59.9%(同 65.9%)が「全期間100%支給」としている。
生理休暇
生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 29.0%(平成27年度25.5%) で、そのうち65.6%(同 70.6%)が「全期間 100%支給」としている。

産前産後休業を有給としていないのは、健康保険から出産手当金(賃金の約2/3)の給付があるからでしょう。

一方で、育児時間・生理休暇について、労働者からの申し出があれば会社は必ず取らせないといけないと労働基準法に定められていますが、有給の必要性はありません。

このあたりの処遇で、その会社の女性活躍推進についての考え方が分かりますね。

■多様な正社員制度の導入状況
多様な正社員制度の導入状況は28.6%(令和元年度 28.2%)となっている。各種制度ごとの導入状況(複数回答)をみると、「短時間正社員制度」が16.3%(同 16.7%)、「勤務 地限定正社員制度」が17.0%(同 17.8%)、「職種・職務限定正社員制度」が11.0%(同 11.1%)となっている。

政府が思うほど、ワーク・ライフ・バランスによる多様な働き方が進んでいないことが分かります。

こうした制度の導入状況で、その会社の社員の事情に応じた取り組みをしているかどうかも分かりますね。

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