
こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。
「新規学校卒業段階でのミスマッチによる早期離職を解消し、若者が充実した職業人生を歩んでいくため、労働条件を的確に伝えることに加えて、平均勤続年数や研修の有無及び内容といった就労実態等の職場情報も併せて提供する仕組み」が「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法)により創設され、施行されています。
その、提供する情報の中にある「新卒の入社3年以内離職率」。
就活生のみなさんが気にする数字の上位に、この「3年以内離職率」は必ず登場するようですが、そもそも、なぜ「3年以内」なのでしょうか?
この法律の目的にある「ミスマッチによる早期離職の解消」に重点を置くのであれば「1年以内離職率」や、もっと言うと「3ヵ月以内」のほうが、断然インパクトがあると思いますが。
一般的な話として、企業では「入社3年」をひとつの節目としている傾向が今もなお続いています。
その典型が「退職金」の支給基準です。
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)」によると、退職一時金受給のための最低勤続年数を「3年」と回答した企業は50.5%(自己都合退職)にも上るなど、日本企業では、入社3年未満は不支給、3年目から支給の対象にしているところが多いようです。
一定期間働くと退職金を受け取ることが可能になるというルールで、長期の勤労を促すとともに、勤続期間の短い人(すぐ辞めてしまう人)は、忠誠心が低く、貢献度も低いので支給の必要はない!という恩恵的でありながらペナルティの要素も含んでいるというのが特徴です。
なぜ「3年」でしょうか?
まず、パッと思いつくのが「石の上にも3年」ということわざです。
辛抱(がまん)することは美徳なこととされ、日本人の国民性を象徴するかのようなこの言葉は、いろいろな場面で使われています。
「石の上にも三年」
冷たい石でも三年間座り続ければ暖まることから転じて、何事にも忍耐強さが大切だということ。つらくても辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということ。「三年」は三年ちょうどの意味ではなく、多くの月日を表している。「石の上にも三年居れば暖まる」ともいう。不安で住みにくい石のようなものの上でも、三年辛抱していると安住の地となるという意味にも。短時間のうちに、良い悪いの結論を出してしまうにではなく、長い目で物事を考えなければならないという教え。
例えば、入社3年未満の若手が退職を申し出ると「最低3年は勤めてみないと仕事の良し悪しは分からないよ」「とりあえず3年は頑張ってみて、それから考えてみたら」「最低3年は勤めないと、転職してもどこも雇ってくれないよ」というのは、よくある話。
また、辞めてしまう人に対しては「3年すら我慢できないから、また次もすぐ辞めるよ」「ああいう人は、どこへ行っても、何をやっても、長続きしないだろうね」などマイナス評価したりも。
これまで「3年以内の離職」にポジティブな見方は少なく、なんらか本人に問題があるのでは?といったネガティブな見方がほとんどでした。
「働く」や「働き方」をとりまくあらゆる環境と価値観が大きく変化している今、なんとしても3年間は我慢しないといけない、その理由を根拠立てて、明確に語ることはできるのでしょうか?
もちろん意味なく転々とキャリアチェンジを繰り返すことを推奨しているわけではありません。
入社3年以内に離職する人は優秀かもしれない
人間には生きるために危険察知能力が備わっています。
なんとなく違和感を感じるという感覚です。
経験、ありますよね。
とくに「洞察力」に優れた人は、ただ観察しているだけでは見えない本質を見抜いたり、見通すことができます。
なので、2〜3年もあれば察知し判断できます。
「このままここにずっと居ても…」
:
「ここは自分にいる場ではないな」ということや
「本当に自分のやりたかったことって…」などなど。
身の周りにはそうした判断を裏付ける(自分の未来を想像できる)先輩・上司・経営層などのモデル・ワーカーもいるわけですし。
洞察力に優れた早期転職者は「決断と実行の早さ」が特徴的な人なのかもしれません。
実際、そういうタイプには、これがしたい、こうありたいと、常に目標を掲げて、そのためにまずやってみる、というチャレンジングな人が多いように思われます。
そう考えると、ビジネスセンスにも優れたものがあるのかもしれません。
結論を見つけたら、やらずにはいられない。
やらなかった後悔よりも、やって失敗するリスクをとる、ベンチャー思考のような。
そうした人にとって3年という道のりは長すぎるでしょう。
定年退職まで安定して働くことを目的にする人と、やりたいことに挑み続けることを目的にする人とは、時間の軸と時間の概念が大きく違うわけです。
自分にとって、なにが生きがいなのか。
多様化する時代に、旧態依然の古典的な雇用思想を当てはめることに無理があるわけです。
合理的かつ戦略的な転職(キャリアチェンジ)でキャリアアップを図ることは、働きがいと生きがいを高めます。
戦略には慎重さと大胆さが必要です。
また、日本の産業と社会にこれまでとは違う何か(イノベーション)を創出する上でも重要なことでもあります。
イノベーション人材がどこの産業でも必要とされています。
もちろん「自分の自由な意志」による転職(キャリアチェンジ)ということが大前提です。