人を大切にする会社か?見極めのヒントとコツ 〜高年齢者確保措置について ①雇用のリスク〜

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

「当社は人を大切にする会社です!」「社員は財産です!」と声高らかに話す経営者、実に多いです。でも、これはごくごく当たり前のこと。当たり前のことをあえて強調して言うことのほうが、むしろ胡散臭く(ブラックぽく)感じますよね。

企業経営において重要な、ヒト・モノ・カネ・情報(4大経営資源)。その中でも、モノ・カネ・情報を活用するのがヒト(人材)。そう、すべてはヒト(人材)次第。ヒト(人材)の確保、育成、成長、活躍(価値創出・働きがい)の好サイクルが、いつの時代も企業経営の基本です。

そして、ヒト(人材)には「感情」があります。経営(エンゲージメント経営)のポイントはそこにあります。

65歳までの雇用確保措置 <義務>

高年齢者雇用安定法(高年法)」という法律、ご存知でしょうか?

定年が近づく50代位になると意識せざるを得ない法律ですが、この高年法に定める必要な措置(義務・努力義務)にどのように取り組んでいるかで、人を大切にする会社かそうでないかがハッキリわかります。

まず、この高年法の制定された目的は以下のとおりです。ポイントは「年齢にかかわりなく」というところです。

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。

厚生労働省

高年法の定めにより、65歳までの雇用を確保することが会社に義務付けられています。

60歳未満の定年禁止(法第8条)

定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。

65歳までの雇用確保措置(法第9条)

定年を65歳未満に定めている場合は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
① 65歳までの定年引上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものでなければなりません。

ただし、平成25年(2013年)3月31日までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた場合は、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められていましたが、その基準を適用できる年齢を令和7年(2025年)3月31日までに段階的に引き上げなければなりません。(平成24年(2012年)改正法の経過措置)

最もリスクがあるのは「再雇用制度」

人を大切にする会社かそうでないかは、措置の①~③のどれを採用しているかだけでは残念ながら分かりません。採用している措置①~③と人事制度・賃金制度などの関係性で比較しないと。

ただし、雇用の安定性でいえば、最もリスクがあるのは③の再雇用制度(継続雇用制度です。

①・②へと移行する会社が増えつつありますが、採用の比率で多いのは ③65歳までの継続雇用制度です。この場合の多くは、定年は60歳のままで、定年退職日をもって一旦退職(再雇用制度)となり、継続雇用希望者は定年退職日の翌日から会社と新たな雇用契約を結び、65歳まで1年ごと(期間は会社により異なります)の契約更新を行います。

ちなみに、再雇用制度と勤務延長制度の違いは、再雇用制度は雇用を一旦終了(退職)させて、その翌日に、再び雇用契約を結びますが、勤務延長制度は、定年到達者を退職させることなく引き続き雇用する制度で、定年退職をもって雇用関係が終了(退職)するかしないのかの違いがポイントです。これは、とくに法令に定められたものではありません。

再雇用制度の場合、60歳の定年退職日で正社員(無期雇用)は終わり、通常の退職手続き(退職金の支払いを行う場合が多い)を行い、翌日から65歳までは非正規社員(有期雇用)になるわけです。切れ目なく雇用は継続していますが、再雇用の日を境にガラッと仕事と賃金、雇用形態が変わるのです。

したがって、①・②の正社員(無期雇用)とは違い、締結する有期雇用契約の内容により「雇止め会社が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了する)」という非正規雇用としての大きなリスクが生じるわけです。

収入面のリスクも生じやすいです。会社(経営者)が再雇用制度を採用する目的のひとつに、正社員の雇用を終了させることでこれまでの賃金をリセット(白紙に)し、翌日からは新たな賃金(多くの場合は低下)で再雇用するという、コスト削減があります。また、ブラック企業では、かなり賃金を低下させるけれども仕事と責任はこれまでと変わらない、という同一労働同一賃金に反する雇用を強要してきますブラック企業とまではいかなくても、結果として、制度の濫用と思える契約内容に対し訴訟なども発生もしています。

定年後の再雇用制度は、特に65歳まで年金受給対象とならない労働者にとって、雇用の確保はされているとはいえ、やはり生活不安のある働き方です。かといって、残念ながら60歳からの転職もなかなか難しいのが現実です・・

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再雇用制度(65歳まで)を採用している会社(経営者)の見方

・労働者が安心して働ける環境づくりより、コスト削減での利益創出に興味あり(ヒトより金の経営主義)

・ヒトの能力差を年齢などの要素で考える傾向(実力・成果・能力主義とは程遠く、多様な人材活用ができにくい)

・高年法の目的(前掲)の「働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう」の『年齢にかかわりなく』に反する社会的責任間の欠如(低い経営倫理)

などと見ることもできますね。

では、①・②は安心かというと、一概にそうとは言えない問題が散見しています。

たとえば、正社員として65歳までの雇用を確保する代わりに、賃金のピークを早めて、65歳まではぐっと右肩下がりのカーブにして生涯賃金をセーブしている会社も珍しくありません。社員をコストとして見ている経営者が好む人事制度です。

そして、分かりやすいのが「役職定年制度」。50歳代の早い段階で役職定年の年齢を規定等で定め、賃金も役割も一気に下げてしまったりします。ある日、年齢を境に収入も仕事に対するモチベーションもだだ下がり。俗にいう「働かないおじさん」生み出してしまう装置のひとつです。もちろん「働かないおじさん」問題は、再雇用制度にもしっかりあてはまります。

まずは、義務化されている65歳までの高年齢者雇用確保措置がどのようになっているのか。それに関係する人事制度・賃金制度がどのようにルール化されているのか。そこに整合性、合理性、なによりも働くヒトの感情(モチベーション)を考慮されているのか。

また、現に60歳以上の社員が生き生きと働いているのか、そうでないのか。

勤め先の実際をよく見てみるとわかるはずですよ。人を大切にする会社(経営者)かそうでないかが。

それによって、将来のキャリアとライフのあり方(このままでいいのか、どうすべきか?)を考えてみること大事なことです。(社会人の自己分析)

70歳までの就業機会の確保 <努力義務>

65歳までの雇用確保義務に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務が設けられています。(2021年(令和3)年4月1日施行)

① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
 (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

70歳までの就業機会の確保の中には、他の会社において70歳まで継続雇用することも可能としていますが、「他の事業主による継続雇用の場合でも、可能な限り個々の高年齢者のニーズや知識・経験・能力等に応じた業務内容および労働条件とすることが望ましい」「他社において、継続雇用の対象となる高年齢者の知識・経験・能力に対するニーズがあり、これらが活用される業務があるか十分に協議した上で、自社と他社との間での契約を締結することが望ましい」「他の事業主により継続雇用を行う場合は、元の事業主と他の事業主の間で契約締結をする必要がある」という一定のルールのもとでの継続雇用が当然必要になります。

70歳までの就業機会の確保は、65歳までの雇用確保義務と異なり、年金受給までの「雇用」ではなく、年金を受給しながら、さらに働きたい人に働く機会を広く求める「就業機会」の確保を期待するものです。現時点では。

努力義務ということもあり、ここはまだ会社によって対応に大きな開きがあるところです。

過去の歴史のように、年金法改正による支給年齢の引き上げと、それに応じた定年年齢の引き上げが行われる可能性はなくありません。65歳定年制への移行と、70歳までの年金支給の段階的引き上げ、最終的には70歳定年・70歳年金支給制度へとすることも。

いずれにしても、会社や年金に頼りすぎない生活設計とキャリア形成が必要であることは言うまでもありません。

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いますぐやらない理由は?

「高年法で雇ってもらう」という他力ではなく、いつでもどのタイミングでもネクスト・キャリアに挑戦できるように備えておくこと。
たとえ収入が不安定になっても、生活に支障が生じないように、副収入を用意しておくこと。
地力を自力にレベルアップし、何歳になっても年齢を気にすることなく、自分らしく生き生きと人生を楽しむ備えをしておくこと。
たとえ小さな一歩でも、少しでも早くに始めるかどうかです。
ちょっとしたことで、将来が大きく変わってしまう時代です。VUCAの時代は特に。
副業、起業、転職、学び直し・・選択肢はどんどん増えています。
人生100年時代です。何かを始めるのに遅いとか年齢は関係ありませんよ。
いますぐ始めてみませんか?
(もしやらないのであれば、やらない理由を考えてみませんか?)

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