なぜ「ⅮX人材(デジタル人材)」なのか? 政府の政策から読み取る、これからの時代に必要なスキルとキャリア、マインドについて

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

みなさんもご承知のとおり、日本経済の再生に向けた成長戦略が「新しい資本主義の実現」を掲げた新たなステージに突入しています。

人への投資

そして、これまで以上に政府主導で力を入れて取り組んでいる感が強いのが「人への投資」。

このことは「経済財政諮問会議(令和4年第8回)・新しい資本主義実現会議(第9回)」でも明確にされています。

注目ポイントは、「スキルアップ(学びなおし・副業兼業の推進)」「成長分野への労働移動(転職)」「デジタル人材の育成」。

相関関係として、「スキルアップ=デジタル人材」「成長分野=デジタル分野」としてシンプルに読み解くことができますね。

スキルアップを通じた労働移動の円滑化

①自分の意思で仕事を選択することが可能な環境(学びなおし、兼業推進、再就職支援)

ストック面での人への投資については、職業訓練、学びなおし、生涯教育等への投資が重要である。時代や社会環境の変化に応じて、需要のある職種は新しいものに入れ替わる。また、教育訓練を受けた従業員の割合が増えると、労働者一人当たりの労働生産性や一人当たり平均賃金が上昇する効果があるとのデータがある。このため、成長分野への円滑な労働移動を進め、労働生産性を向上させ、更に賃金を上げていくためにも、個々の企業内だけでなく、国全体の規模で官民が連携して、働き手のスキルアップや人材育成策の拡充を図ることが重要である。

③デジタル人材育成・専門能力蓄積

企業が賃金を引き上げるためには付加価値を高める必要があり、そのためにもデジタル分野を中心に人的投資を進めていくことが必要である。大企業、中小企業、IT企業で求める人材が異なる中、デジタル実装を進め、地域が抱える課題の解決を牽引するデジタル人材について、現在の100万人から、本年度末までに年間25万人、2024年度末までに年間45万人育成できる体制を段階的に構築し、2026年度までに合計330万人を確保する。

このため、オンライン上のプラットフォームを整備し、デジタル人材の育成に取り組む大学・教育機関や企業の参画を求め、デジタル人材に共通して求められる教育コンテンツの提供や、企業の事例に基づいた実践的なケーススタディ教育プログラム等を実施する。

経済財政諮問会議(令和4年第8回)・新しい資本主義実現会議(第9回)令和4年6月7日(火)
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)~人・技術・スタートアップへの投資の実現~


デジタル人材育成については「オンライン上のプラットフォームを整備」とその取り組み内容が具体的に公言されています。

今回は「デジタル人材育成プラットフォーム説明資料(経済産業省・2022年3月24日)」から内容を引用し、確認しておきたいと思います。

この資料には、その背景と目的が誰にでも分かりやすく記載されていますので。

なぜDX

まずは取り組みの背景について。

日本のデジタル競争力は低下している(要因の一つが人材問題)

・デジタル競争力ランキング2021で、日本は64カ国中28位と低迷。特に「人材/デジタル・技術スキル」が、62位と低く、これが全体を引き下げる要因に。

・日本では76%の企業がDX人材不足を感じている(米国は43%)にもかかわらず、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%(米国は37.4%)。

デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省・2022年3月24日)

日本がIT退国、IT後進国と揶揄される根拠と要因が示されています。

DX人材不足

日本の企業はDX人材が不足しいるという課題があっても、人材育成のための教育の機会を設けていない。なので、政府がテコ入れしなくては経済が再生しない、ということでしょう。

デジタル社会における人材像

・デジタル社会においては、全ての国民が、役割に応じた相応のデジタル知識・能力を習得する必要がある。

・若年層は、小・中・高等学校の情報教育を通じて一定レベルの知識を習得する。

現役のビジネスパーソンの学び直し(=リスキリング)が重要

デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省・2022年3月24日)

新しい資本主義の実現により日本が目指すデジタル社会においては、全ての国民が、役割に応じた相応のデジタル知識・能力を習得する必要があると前提条件を定義しています。

そのための学校教育における情報教育はすでに始まっているのですが、やはり一番の課題は、現役社会人の情報教育(=デジタル教育)ということです。

デジタル時代に求められる人材

さらに資料では、DXを進める企業等におけるビジネスパーソンの人材像を、仮説としてではありますが明確にしています。

DXを進める企業等におけるビジネスパーソンの人材像(仮説)

・DXのためには、まず全てのビジネスパーソンがデジタルリテラシーを習得することが重要。

・DXを推進する立場の人材は、変革のためのマインドセットの理解・体得した上で、さらに専門的なデジタル知識・能力が必要。

全てのビジネスパーソン

小・中・高等学校における情報教育の内容に加え、ビジネスの現場でのデジタル技術の使い方の基礎を学んだ人材

DX推進人材

DX推進のための組織変革に関するマインドセットの理解・体得が必要。

デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省・2022年3月24日)

まず「DXを進める企業」とありますが、成長分野=デジタル分野と定義する政府にとって、成長分野への労働移動は、すなわち衰退分野の自然淘汰(衰退企業の市場からの退場)を示唆していると考えられます。

これは、これまでの大企業・中小企業、上場企業・非上場企業といった形式的な基準ではなく、DXを進める企業か否か、そのために社員の学び直しを行うか否かが、社会環境やビジネス環境の変化に応じた対応ができるか否かが、生き残りの分岐点になることを示していると理解できます。

なるほど、ダーウィンの考えに近いですね。

生き残る種とは、最も強いものではない。

最も知的なものでもない。

それは、変化に最もよく適応したものである。

チャールズ・ダーウィン

これは現に働く社員にとっても、ここにいて将来はあるのかどうか、会社の見方として重要なポイントになるでしょう。もちろん、就職・転職においての会社選びにおいても同様に。

資料には「全てのビジネスパーソンがデジタルリテラシーを習得」とあります。このデジタルリテラシーとは、最新のテクノロジーを使って業務を行う能力のことで、パソコン・スマートフォンなどのデバイスや、各種ソフトウェアを活用し、ビジネスシーンでの目的達成を行うために必要な能力のことを指します。従来のITリテラシーよりもさらに広義なイメージですね。

これがDX人材の必須要件となります。

さらに、DX推進人材と記載があります。これは、デジタルを生活やビジネスに用いることで変革を起こす「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を積極的に推進していく人材のことです。

DXを推進するためには、固定概念や過去の慣習などにとらわれず、革命的な発想と、何としてでもやり遂げる強い信念と行動力が求められること(変革リーダー)をマインドセットという言葉で表しているかと思います。それプラス、当然に専門的なデジタル知識・能力が要求されます。

人材育成の進め方

なによりも大事な「人材育成の進め方」については以下のように示しています。

人材育成の進め方

・デジタル知識・能力を身に付けるためには、講義の受講等に加え、ビジネスの現場における課題解決の実践を通じた能力を磨くことが重要。

・経済産業省として、「デジタル人材育成プラットフォーム」(ポータルサイト)を構築し、経済界への働き掛け等を通じて利用を促していく。

デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省・2022年3月24日)

これからの社会が求める「DX人材(デジタル人材)」とは、すでにIT企業で働いている人たち、情報分野を学んできた知見のある人たちに活躍の優位性があるのでしょうか?

人材育成の進め方」にハッキリとその考え方が記載されています。

まず、デジタル知識・能力を身に付けるためには、講義の受講等で大丈夫。そのために、これからDXを学ぶ人たちのために「ポータルサイト」で情報提供していくと。

必要な能力とマインド

大事なことはDXの本質である変革スキル。これは、業界や業種、職種に関係なく、ビジネスの現場における課題解決の実践を通じた能力で、それを磨くことだと。

DXは手段であって、必要なのは新たな価値を創出するイノベーション。それを実現する変革リーダーが必要であるということです。

ですので、これまでITに無縁であった文系人材にとっても新たな挑戦で革新的な活躍が期待されるわけです。

今後、転職の際に求められる人材要件に「ビジネスの現場における課題解決の実践を通じた能力」が、これまで以上に強く問われてくることは間違いありません。

そして、この「課題解決能力」は、新卒採用においても求められる人像として重要視されてくるはずですので、対策が必要です。

マナビDXのこと

デジタル知識・能力の習得については経済産業省の「マナビDX」に情報提供されています。また、一部ではありますが無料の講座なども用意されています。(有料講座もあります)

経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場として、ポータルサイト「マナビDX」を開設しました。ポータルサイトでは、デジタルスキルを学ぶことができる学習コンテンツを紹介するとともに、すべての社会人が身につけるべきデジタルスキルを示した「DXリテラシー標準」も掲載しています。

経済産業省
経済産業省のポータルサイト「マナビDX Quest」について 〜DXを推進するデジタル人材の必要性〜

「マナビDX」だけでなく、デジタル知識・能力の習得ができる教育機関や講座は多数あります。ご自身のスキルレベルや学習のしやすさなどで自分に合いそうなものを選択し、まずは「やってみる!」ことが、ダーウィンのいう生き残りのための一歩に繋がるでしょう。

これからのデジタル時代において、転職、副業・兼業、起業のあらゆる働き方において、この「DX人材」であるということは、他との差別化、優位性があることは間違いありません。

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