
こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。
「内定取り消し」なんて文字を見ただけで学生さんは不安になりますよね。
もし内定を取り消されたらどうしよう。
どんな理由で内定が取り消されるのだろう… と。
正式内定の際、企業から提出するように説明される「採用内定承諾書」に内定取り消しの事由が記載されているのが普通一般的です。
これは、従業員で言うところの「解雇理由の明示」のようなものです。
いきなりちょっと小難しい話ですが、法律でいう内定とは「始期付解約権留保付労働契約の成立」の状態です。
「始期付」とは、実際の勤務開始は今でなく、学校の卒業が決まった後の、労働条件通知書に明示し、本人が承諾した日(入社日)からということです。
「解約権留保付」とは、始期(入社日)までの間に、特別の事情が生じた場合は、労働契約を解約する可能性があることを条件に付け加えています、という意味です。
正式内定といえども必ず採用が約束されたわけではないという約束です。
とはいえ、内定の取り消し理由は「客観的に合理的と認められ社会通念上相当」である必要があります。
企業の自由裁量で決められるようなものではありませんし、もしそのような理由で内定取り消しを行った場合、内定取り消しが無効になることは、言うまでもありません。
ちなみに、内定後は他社の選考を受けないとか、他社の重複内定は受けないとか、そのような事実が発覚した場合は内定を取り消すとか、内定承諾書に記載している企業もあるようですが、それは無効です。
たとえ承諾してもなんの効果もありません。
ブラック企業の荒技です。
そうした怪しい企業の内定承諾については、学校や周りの大人に確認するなどして、慎重に見極めるべきです。
新卒採用において、内定が取り消される主な理由として以下のような場合が一般的です。
①学校を卒業できなかった場合
②経歴について虚偽の記載が発覚した場合
③健康上の理由により働けない場合
④素行面に問題(犯罪行為)があった場合
⑤経営上、採用することが困難となった場合
①の場合の内定取り消しについては、客観的・合理的・社会通念上相当と認められる十分な理由があります。
そう、これは誰が見ても仕方がないなと。
ただ、実際には卒業できないことが決まった時点で学生本人から内定の辞退を申し出るパターンが多いです。
卒業できませんでした… どうしましょうと。
ちなみに、次年度に再チャレンジできるかどうかはその企業の判断によります。
とりあえず事後策として相談はしておくべきです。
②の場合、採用する職務との関係で、誰がどう見ても重大な経歴詐称と判断されると、間違いなく取り消し理由に該当し得ます。
虚偽が故意であればなおさらです。嘘はダメですよね。
③の場合、採用する職務を遂行することができない、または職務に就くことによりさらに病状が悪化する可能性があると、会社は安全と健康配慮の義務を負う都合、採用することが困難となり得る場合があります。
ただし、この判断は企業ではなく医師によるのが普通です。
もちろん、新型コロナに感染したこと、入社までにワクチン接種をしていないことは取り消しの理由になりません。
④犯罪行為が直ちに内定取り消しになるわけではありません。
内定先の企業に及ぼす影響や職務との関係性などを考慮し、社会通念上取り消しがやむを得ないと認められる必要があります。
ただし、卒業前であれば、学校側の処分が先に検討されることになりますので、多くの場合、学校の処分を受けた結果で取り消しが検討されることになります。
万が一の際は、まず学校に相談しましょう。
また、例えば、夜のお店でバイトをしていたことが理由で直ちに内定取り消しとなるようなことはありません。
やはり総合的に評価して社会通念上やむを得ないと認められる必要があります。
⑤は、経営難を具体的、客観的に明らかにする必要があります。
しかし、このような状況下で内定取り消しがどうと時間を費やすより、長く安心して働ける先を探すことに時間を使った方が得策だと思います。
学校やハローワークに相談しながら。
以上、①は新卒採用の性格上、内定取り消しはやむを得ないと判断されがちですが、新卒採用の内定とはいえ労働契約を結んだ以上、企業が内定を取り消すことは簡単には認められていません。
内定取り消しを行うには、採用内定当時知ることができなかったということ、採用内定を取り消すことが客観的に合理的と認められること、社会通念上相当として認められるということを企業側が具体的に立証する必要があります。
取り消しのハードルの高さ、ハローワークへの報告の回避、取り消しをすることによる社会的評価の失墜、評判を気にする企業は、上手いこと言って学生に内定辞退を促すことがあります。
心理的な恐怖感(パワハラ)を与えて内定辞退に追い込んだりも。
これは悪質な(ブラック企業の)テクニックです。
もし内定取り消しに遭ってしまったり、内定辞退を強要されたりしたら、迷わず学校やハローワークに相談しましょう。
また、近ごろは、都道府県の労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」が広く相談を受け付けていたりします。
ひとりで抱え込まず、然るべきところにすみやかに相談することが重要です。
◎ 内定と内々定の違いについてはこちら↓
