またまた就活ルール変更。企業は「インターンシップ」での学生の評価を採用活動で利用可能になります。

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

現在、学生の就職活動について政府主導でルール化(形式的?)されているのですが、そのルールが大きく変わることになりました。

まず、これまで曖昧であった「インターンシップ」について定義づけされ、一定の基準に適合するインターンシップに参加した学生の情報(評価等)を、その企業が採用活動(採用広報・採用選考)のために利用すること可能にするということです。

来年度(令和5年度)以降に行うインターンシップ(現大学2年生)から対象になります。

さて、まずそのインターンシップについての定義づけですが、具体的には以下「大学等におけるインターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組について(令和4年6月13日一部改正)」のとおりです。

大学等におけるインターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組について

大学等におけるインターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組(以下、「キャリア形成支援に係る取組」という。)は、大学等での学修と社会での経験を結びつけることで、学修の深化や学習意欲の喚起、職業意識の醸成などにつながるものであり、その教育的効果や学生のインターンシップを始めとするキャリア形成支援における効果が十分に期待できる重要な取組である。

本年4月に一般社団法人日本経済団体連合会と大学関係団体等の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下、「産学協議会」という。)において、「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組み」が次の四つの類型に整理され、そのうちタイプ3及びタイプ4がインターンシップであるとされた。 (学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組の四つの類型)

 タイプ1 オープン・カンパニー

 タイプ2 キャリア教育

 タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップ

 タイプ4 高度専門型インターンシップ(試行)

この整理は、産業界と学界で議論された上で決定されたものであることを踏まえ、インターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっては、その整理に基づき、取組を実施すべきである。

タイプ3及びタイプ4の大学等のインターンシップ(以下、「インターンシップ」という。)については、「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」と定義された。

一方、タイプ1及びタイプ2のうち、従来インターンシップと称されていたもので、今回の産学協議会の定義では、インターンシップとは称されないが、教育的効果や学生のキャリア形成への効果が一定程度期待できるものもあることから、それらの取組を含めたインターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方について改めて示すこととする。

なお、新たな取組として、タイプ4のうち博士課程におけるジョブ型研究インターンシップは、 令和3年度より先行的・試行的取組として実施されており、今後の展開が期待されている。タイプ4の修士課程におけるジョブ型研究インターンシップや高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ(仮称)の実施時期等の詳細については、今後検討されることとされている。

本「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」については、今後の産学協議会における検討状況や新たな整理に基づいたキャリア形成支援に係る取組の実施状況等を踏まえ、必要に応じて見直すこととする。

インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方
令和4年6月13日一部改正
文部科学省・厚生労働省・経済産業省

インターンシップとは「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」であり、タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップとタイプ4 高度専門型インターンシップ(試行)であるとしています。

では、近ごろ当たり前のように行われている「1Day(ワンデイ)インターンシップ」などはどの類型に当てはまるのでしょうか?

タイプ1及びタイプ2のうち、従来インターンシップと称されていたもので、今回の産学協議会の定義では、インターンシップとは称されないとなったものは以下の内容のものです。

学生のキャリア形成支援における産学協働の取組み 各類型の特徴

タイプ1:オープン・カンパニー ✳︎オープン・キャンパスの企業・業界・仕事版

取組みの性質

・個社・業界の 情報提供・PR

主な特徴

主に、企業・就職情報会社や大学キャリアセンターが主催するイベント・説明会を想定

学生の参加期間(所要日数)は「超短期(単日)」。就業体験は「なし」

・実施時期は、時間帯やオンラインの活用など学業両立に配慮し、「学士・修士・博士課程の全期間 (年次不問)」

取得した学生情報の採用活動への活用は「不可」

タイプ2:キャリア教育

取組みの性質

・教育

主な特徴

・主に、企業がCSRとして実施するプログラムや、大学が主導する授業・産学協働プログラム(正課・ 正課外を問わない)を想定

・実施時期は、「学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)」。但し、企業主催の場合は、時間帯やオンラインの活用など、学業両立に配慮。

・就業体験は「任意」

取得した学生情報の採用活動への活用は「不可」

採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021 年度報告書
「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」

タイプ1:オープン・カンパニー に属するものが「1Day(ワンデイ)インターンシップ」の典型です。

説明にあります「オープン・キャンパスの企業・業界・仕事版」そのものが内容のほとんどですので。

したがって、これらのイベントは、インターンシップと称して行うことはできない!ということです。

かねてから疑問視していた「名ばかりインターンシップ」に、ようやくメスが入ったということです。

名ばかりインターンシップって、どうよ?

ただし、タイプ1及びタイプ2に該当するイベントそのものが否定されたわけではありません。

政府も「大学等におけるインターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組は、大学等での学修と社会での経験を結びつけることで、学修の深化や学習意欲の喚起、職業意識の醸成などにつながるものであり、その教育的効果や学生のインターンシップを始めとするキャリア形成支援における効果が十分に期待できる重要な取組である」と、インターンシップではないがタイプ1及びタイプ2もキャリア形成支援における効果が十分に期待できる重要な取組であると評価しています。

今後問われるのは、4つのどの類型の内容のものなのかを学生にしっかりと明示し、その目的に応じたキャリア形成支援を行うという企業側の姿勢です。

では、インターンシップと称されるタイプ3とはどういう内容のものなのでしょうか?

その定義と内容を確認しておきます。(タイプ4は現時点で試行なので今回は省略させていただきます。あしからず。)

学生のキャリア形成支援における産学協働の取組み 各類型の特徴

タイプ3:汎用的能力 ・専門活用型インターンシップ

取組みの性質

・就業体験

・自らの能力の見極め

・評価材料の取得

主な特徴

・主に、企業単独、大学が企業あるいは地域コンソーシアムと連携して実施する、適性・汎用的能力 ないしは専門性を重視したプログラムを想定

学生の参加期間(所要日数)について、汎用的能力活用型は短期(5日間以上)、専門活用型は長期(2週間以上)★

就業体験は「必ず行う(必須)」。学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験。★

実施場所は、「職場(職場以外との組み合わせも可)」(テレワークが常態化している場合、テレワークを含む)★

実施時期は、「学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・ 春休み)」「大学正課および博士課程は、上記に限定されない」★

・無給が基本。但し、実態として社員と同じ業務・働き方となる場合は、労働関係法令の適用を受け、有給

・就業体験を行うにあたり、「職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後にフィードバック」★

募集要項等において、必要な情報開示を行う★

取得した学生情報の採用活動への活用は、「採用活動開始以降に限り、可」

★の基準を満たすインターンシップは、実施主体(企業または大学)が基準に準拠している旨宣言したうえ で、募集要項に産学協議会基準準拠マークを記載可

採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021 年度報告書
「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」

このタイプ3がインターンシップであり、この基準に適合したインターンシップに参加した学生の情報を採用活動(選考)に利用できるということです。

参加した学生の情報を採用活動(広報・選考)に利用できるのは大学4年の6月以降とはしていますが、どうでしょう。今でも大学4年の6月以降が選考開始となっているのですが、すでに内定は出ています。これが実態です。企業の倫理観(コンプライアンス意識)が問われるところです。

このルール変更により、インターンシップの参加が実質的な就活の開始となり、今後さらなる就活の早期化・長期化が予想されます。

ルール変更による企業側の動きとして、参加した学生の情報を採用選考に活用することができるインターンシップの内容へと転換するところが一気に増えると当然に予想できます。

就業体験を伴う選考ですから、ある意味、インターンシップが入社後の試用期間のようなイメージになってしまいそうです。

そもそも企業の採用手法が多様化する中、インターンシップを実施できる企業とできない企業とで採用活動の形が大きく変わることで就活自体がさらに複雑化し、そこに学生がどう対応していくのか、キャリア教育の重要度ときめ細やかな支援が求められてきます。

一方、学生にとってもインターンシップが選考開始と考えて準備しておく必要があります。

例えば、これは今でもそうですが、企業によってはインターンシップ参加のための選考(エントリーシートや面接等)を行っているところも珍しくありません。

インターンシップ開始時期の前に業界や職種、企業についてある程度でも理解しておかないと、希望する企業のインターンシップに参加できず、採用選考の波に乗り遅れてしまう可能性があります。

このような早期化・複雑化する就活に対して、正しい情報を早めに収集しながら、状況に応じて適切な支援やアドバイスを受けられる良きパートナー(キャリアセンター+α)との関係づくりが必要になってきています。

キャリアセンター活用のススメ

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