必要とされるキャリアとは? 〜政府が掲げる「成長戦略(日本再興戦略)」のシナリオからわかること〜

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

平成25年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略 – JAPAN is BACK – (2013年)」はアベノミクスとも言われ、その後も「成長戦略会議」として継続的な議論が行われています。

その内容や方向性は、その年その年の社会的背景の変化・変容に応じて見直されていますが、一方で「ぶれない(政府の言葉で言う「骨太の」)戦略」も存在しています。

その中でもポイントになる「人への投資」や「働き方」については、目まぐるしく変わる労働環境に柔軟に対応しながらも、平成25年6月14日に閣議決定した際の方針が基本形となっているようです。

その要旨(課題と方針)を一部抜粋すると以下のとおりです。

キーワード① 「成長産業」

新卒者が終身雇用によってひとつの企業で定年を迎える従来の働き方は、本人にとっても社会にとってもお互いの成長を阻害する要因であると政府は問題提起しています。

課題解決には、これまで日本経済の成長を支えてきた「成熟産業」から「成長産業」へと人材を流動化させることが、日本の成長に必要不可欠であるということ。成熟産業は衰退産業へと移行し、産業の再編を政府が主導して行うと捉えるのが自然です。

政府主導による人材流動の施策のひとつ「日本版O-NET」もすでに立ち上がっています。

日本版O-NETってナニ?

また、少子高齢化による成長産業の人材不足を補うため、女性や高齢者の積極的な労働参加を促すための法改正も頻繁に行われています。

このように「成長産業」への人材の流動化(就職・転職)が日本再興戦略の重要課題としています。

キーワード②「Society 5.0とAI人材」

政府が考える成長産業(日本の課題解決産業)を読み取る情報のひとつとして、政府の掲げる「Society5.0(ソサエティ5.0)」に大きなヒントがあります。

「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」

内閣府
Society5.0 の認知度と対応って、どーなの?

平成30年6月15日の未来投資戦略2018 ~「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革~ では、このSociety 5.0の実現に向けて、政府はAiやロボット、ICT等の新技術を活用し課題先進国を目指していくとかなり具体的に公表しています。

この新技術を活用しイノベーションで新たな価値を創出する産業、これが政府の定義する成長産業(次世代産業)であり、これを実行するために「AIの活用」を必要不可欠なスキルと定義し、AI時代に求められる人材の育成・活用、人材の最適活用に向けた労働市場改革を行うとしています。

「Society 5.0」では AI の実装により、同質の大量生産から、AIとデータ利用による個別生産へとビジネスが変化する。このAI時代には、高い理数能力でAI・データを理解し、使いこなす力に加えて、課題設定・解決力や異質なものを組み合わせる力などのAIで代替され ない能力で価値創造を行う人材が求められ、その質と量が我が国の将来を決定づける

成長戦略(日本再興戦略・骨太の方針等)キックオフの後、さっそく平成25年6月27日に職業安定分科会雇用保険部会で「労働移動・学び直しの支援措置」の検討が始まり、これらが着実に進められた早い段階で、次世代産業で求められる人材へのキャリアチェンジの具体的方向性が明確になったわけです。

◉ 部会検討資料:労働移動・学び直しの支援措置

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000014183.pdf

キーワード③ 「マルチワーク・マルチスキル」

政府の掲げる成長戦略のシナリオを見てくると、スキルとワークの多様な時代はもうすぐそこにあるようです。

まずは働き手の維持と拡大。

ライフの多様化に対応できる働き方の創出。

そして、スキルのマルチ化。

成長戦略(2019年)の成長戦略実行計画(令和元年 6月21日)では、 Society5.0の実現、全世代型社会保障への改革(70歳までの就業機会確保、中途採用・経験者採用の促進、疾病・介護の予防)を図るとしています。

経済成長を支える原動力は「人」である。劇的なイノベーションや若年世代の急減が見込まれる中、国民一人一人の能力発揮を促すためには、社会全体で人的資本への投資を加速し、高スキルの職に就ける構造を作り上げる必要がある。

成長戦略(2020年)の成長戦略実行計画(令和2年7月17日)では、新しい働き方の定着として「兼業・副業の環境整備」「フリーランスの環境整備」「社会人の創造性育成(リカレント教育)」の促進を図るとしています。

人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要である。ウィズ・コロナ、ポスト・コロナの時代の働き方としても、兼業・副業、フリーランスなどの多様な働き方への期待が高い。

実態をみると、兼業・副業を希望する者は、近年増加傾向にあるものの、他方、 実際に兼業・副業がある者の数は横ばい傾向であり、働く人の目線に立って、兼業・副業の環境整備を行うことが急務である。

成長戦略(2021年)の成長戦略実行計画(令和3年6月18日)では、「人」への投資の強化(フリーランス保護制度の在り方、テレワークの定着に向けた取組、兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現、女性・外国人・中途採用者の登用などの多様性の推進、人事評価制度の見直しなど若い世代の雇用環境の安定化、労働移動の円滑化、全世代型社会保障改革の方針の実施)を図るとしています。

リカレント教育の推進など、産業構造転換に伴う失業なき労働移動を支援する。

また、特に、コロナ禍により雇用が不安定化しているのは、前述のとおり、飲食・宿泊・文化芸術・エンターテインメントなどで働く非正規雇用労働者の方々で ある。特に、女性の非正規雇用労働者で20代〜40代の方々への影響が大きい。他方、女性の非正規雇用労働者の方々に非正規雇用を選択した理由を問うたところ、正規雇用の仕事がないからは10.3%であり、都合の良い時間に働きたい (39.9%)、家事・育児・介護と両立しやすい(19.7%)といった優先順位が高く、時間的制約があるため、フルタイムの職業への労働移動は困難なケースが少なくないこれらの方々のために、現在増加している正規雇用職への労働移動と時間的制約の少ない職への労働移動の選択肢を提供する

このため、非正規雇用の方々が、簡単なトレーニングを行って、時間的制約の少ない事務職などに失業なく労働移動できるシステムを検討する

同時に、企業側にも、勤務時間の分割・シフト制の普及や、短時間正社員の導入など多様な働き方の許容を求める

企業に対し、副業・兼業の解禁と促進を求めながら、さらに働き方の多様な選択肢の制度化を求めながら、一方で、働く人のスキルの底上げと高度化・マルチ化、転職による人材の流動化をより強く推進していくことが明らかです。

やるか、やらないか

このように、個人が望む望まないとは関係のないところで日本(政府)が「目指すべき姿」に向かって確実に変化が起きています。

働く個人にとっても企業にとっても政府の掲げるシナリオで自身の未来を想像し、そこに向かって一歩ずつでも進んでいく。例え小さな一歩でも変化(進化)に順応した一歩を踏み出す。その変化を恐れず挑戦し続ける姿勢が後々の大きな差に…

そうです、「やるか、やらないか。なぜやらないのか?」そんな時代になってきています。

良いか悪いかは別として・・・

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/kettei.html

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