リスクを抑えて副業・兼業を行う重要なポイント

こんにちは、モン吉(@SmileWork_LAB)です。

少子化・高齢化による労働力不足、諸外国とのIT技術格差、なかなか減らないブラック企業問題など、日本の抱える様々な課題を解決する手段として強力に推進されている「働き方改革」。

その中で、副業・兼業も「原則禁止」から「原則自由」、さらには「積極推進」へと大きく変わってきています。

働き方の新常識:政府(国策)による副業・兼業のススメ

政府の掲げる方針により、大企業をはじめとする多くの企業において副業・兼業が解禁され、本業以外の仕事で活躍する人たちが増えています。

また、政府が企業に求める副業・兼業についての公表が、就職・転職の際の企業選びの重要なポイントになるであろうということも容易に想像できます。

変化に柔軟に対応できる企業に人は集まり、そうでないところは・・・

副業・兼業のメリットと留意点を知る

副業・兼業を考える際、まずは、政府が推進する副業・兼業の定義とは何か、それに伴う留意点は何か、勤め先のルール(就業規則等)はもちろんですが、さらに高いレベルで、これからの副業・兼業のあり方を知っておく必要があります。

それには「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)が参考になります。

まずは、労働者にとって副業・兼業をすることのメリットと留意点を確認しておきます。

副業・兼業を行うメリット

離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③ 所得が増加する。
④ 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

かなり大胆な表現です。

これらのメリットは、政府の推奨(副業・兼業について国からのお墨付き)とも捉えることができます。

本業での給料を活かし、自分のやりたいことに挑戦(転職・起業)するための副業・兼業は大いに結構。

言い換える、新卒で就職した先で定年を迎えることはスキルと経験が停滞し、日本の産業の成長にとっては良くないことだとも。

また、③の所得については、企業経営と同様、収入を複数にすることの生活の安定化策と考えることもできます。

本業でいくら頑張っても昇給しない、昇進もしない。

昇給しても物価高には追いつかない。

であれば、本業以外で稼ぐ力を身につけて生活を維持、向上させる。

会社に頼らず自立を促しているようです。

会社に対しての「忠誠心」なんてものは、これからの時代、ナンセンスだよと、政府が公言しているようなものですね。

VUCA時代を生き抜く働き方。副業・兼業・起業ありきの収入とキャリア、夢のあるおもしろい時代?
副業・兼業を行う際の留意点

① 就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要である。
職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要である。
③ 1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には、雇用保険等の適用がない場合があることに留意が必要である。

これらの留意点に注意すれば、現に勤め先が副業・兼業についてどのようなルール(就業規則等)になっていても副業・兼業をすることが直ちに違反になることはないと政府が丁寧に解説しています。

この留意点(特に①・②)をクリアすることが、リスクなく副業・兼業を行うポイントです。

労働者自身による就業時間と健康管理の必要性を知る

まず①は、企業側の安全配慮義務の問題です。

すべて使用者には、労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるように必要な配慮をすることが労働契約法第5条で義務付けられています。

これを「安全配慮義務」といいます。

これに関して国のガイドラインでは、以下のように記載されています。

副業・兼業に関して問題となり得る場合としては、使用者が、労働者の全体としての業務量・時間が過重であることを把握しながら、何らの配慮をしないまま、労働者の健康に支障が生ずるに至った場合等が考えられる。

このため、

・ 就業規則、労働契約等において、長時間労働等によって労務提供上の支障がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておくこと

・ 副業・兼業の届出等の際に、副業・兼業の内容について労働者の安全や健康に支障をもたらさないか確認するとともに、副業・兼業の状況の報告等について労働者と話し合っておくこと

・ 副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講じること

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)

ということで、副業する労働者側も長時間労働にならないよう注意すること、本業の勤め先の求めにより副業先で労働時間の情報を提供等に協力する必要があります。

副業・兼業先の仕事が忙しく、健康面に問題(長時間労働、過重労働)が生じるような場合、安全配慮のため副業・兼業を禁止または制限(会社の法的義務として)されることもあります。

また、副業・兼業先の仕事が忙しく、遅刻・欠勤等、本業の就労に影響を及ぼす場合は、次に説明する職務専念義務に違反し、場合によっては懲戒処分の対象になることもあります。

この安全配慮義務は、副業先での雇用(使用者と労働者の労働契約)が前提ですので、他に雇われない副業・兼業(個人事業)は該当しません。

必要な義務(ルール)を守ること ~ 職務専念義務 ~

次に、② 職務専念義務秘密保持義務競業避止義務の問題です。

ガイドラインにもありますとおり、副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由です。

ただし、副業・兼業に際し、労働者が一定の義務(就業規則に定めるルール)を守ることができない場合、企業においてそれを制限することが許されるとしています。

就業規則に定める「副業・兼業禁止」と「懲戒処分」の関係と注意点

労働省は、労働契約に基づき、企業に対して職務に専念する義務を負っています。

本業の就業時間中に副業・兼業その他、許可なく業務以外のことを行うことは、職務専念義務に違反することになり、副業・兼業について制限を受けることになります(場合によっては、就業規則・労働契約違反により懲戒処分の対象になることも)。

また、私生活上の自由が原則とはいえ、就業時間外について就業規則や労働契約に定める義務に違反する場合にも一定の制限を受けることになります。

必要な義務(ルール)を守ること ~ 秘密保持義務 ~

例えば、秘密保持義務

労働者は、企業の営業上の秘密やノウハウなどを許可なく勝手に使用したり、第三者に開示、漏洩したりすることはできないという業務上の秘密を守る義務を負っています。

この秘密には、本業の技術やノウハウ、顧客情報、社員や役員の情報なども含まれます。

秘密保持義務に違反した場合、副業・兼業の禁止や制限のレベルの問題でなく、その損害が莫大な場合は損害賠償請求という大問題に発展してしまいます。

意図的に漏洩することはもちろん、副業・兼業先でうっかり話してしまった、ということも問題になり得ますので十分注意が必要です。

ただし、何でもかんでも営業上の秘密というわけではありません。

ガイドラインにもありますとおり「企業は、就業規則等において、業務上の秘密が漏洩する場合には、副業・兼業を止又は制限することができることとし、 副業・兼業を行う労働者に対して、業務上の秘密となる情報の範囲や、業務上の秘密を漏洩しないことについて注意喚起すること」としています。

また、この「秘密保持義務」の秘密とは、一般的に相当高い機密レベルのものとされています。

副業・兼業を行う際、企業から「業務上の秘密を漏洩しないこと」と漠然と注意された際は、何が秘密に該当するのか「業務上の秘密となる情報の範囲」を確認しておくことが重要です。

必要な義務(ルール)を守ること ~ 競業避止義務 ~

労働者は、一般に、在職中、使用者(勤務先)と競合する業務を行わない義務を負っているとされています。

ライバル企業への転職や引き抜きなどでもよく問題になる「競業避止義務」です。

本業のライバル企業で副業・兼業となるとかなり厳しい制約がありそうですが、ガイドラインでは以下のとおりとしています。

使用者は、競業避止の観点から、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるが競業避止義務は、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないことを内容とする義務であり、使用者は、労働者の自らの事業場における業務の内容や副業・兼業の内容等に鑑み、その正当な利益が侵害されない場合には、同一の業種・職種であっても、副業・兼業を認めるべき場合も考えられる。

(略)

副業・兼業を行う労働者に対して、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起すること。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)

秘密保持義務と考え方は同じです。

禁止はできるけれど、その場合は、自社の利益が害することになり得る禁止される競業の行為の範囲を明らかにして注意喚起するようにということです。

たとえば「当社のライバル企業であるA社とB社での副業・兼業は許可できません」というように。

単に「同業他社での副業・兼業は許可できません」というのは説明にならないということです。

かつて私も働いていたIT業界でよくある「あれもダメ」「これもダメ」とやたらと情報の機密を理由に閉鎖的になる、そんな時代ではないということですね。

労働契約の原則を守ること ~ 誠実義務 ~

最後に「誠実義務」について。

労働者は(当然、使用者も)、労働契約により単に職務に専念するだけでなく信義に従い誠実に権利の行使と義務を履行しなくてはいけないと労働契約法で定められています。

労働契約の原則

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

労働契約法3条4項

この信義に従い誠実にという“信義則の原則”は、民法においても「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と規定しています。

これは、お互いに相手の信頼・信用を傷つけないように、裏切ったりしないように行動(権利・義務を果たす)するように定めたもので、誠実に労働することを義務付けています。

就業規則や労働協約の服務規律などにより「会社の名誉や信用を傷つける行為をしないこと」と定めているのが一般的です。

副業・兼業において、例えば、反社会的勢力に関連すること、犯罪行為に伴うこと、公序良俗に反すること(風俗業など)については禁止する、としているのがこれに当たります。

風俗業と言っても、それが直ちにダメということではなく、風俗業の仕事をしたことで会社の品位や名誉、信用をなくす事実があるかないかが重要な判断になります。

あと、本業の社名や名刺を使って副業・兼業することも問題になりやすいです。

ガイドラインにおいても「自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができる」と就業規則に定めるよう企業に要請しています。

この誠実義務に違反した場合、副業・兼業の禁止・制限にとどまることなく、賞罰規定により懲戒処分の対象になることが一般的です。

副業・兼業を行う際、この労働契約の原則である誠実義務(信義則の原則)は絶対厳守すべき重要事項です(副業・兼業以外の通常時もそうですが)。

以上、今回は「リスクを抑えて副業・兼業を行う重要なポイント」を確認しました。

どれもごく当たり前のことばかりですが、その当たり前をしっかり守ることが副業・兼業においてとても重要です(他に雇用されての副業・兼業の場合は特に)。

ちょっとした間違いや誤解、手続きの不備などで本業すら無くしてしまうことのないよう・・・

副業・兼業は、大胆さと慎重さが必要です。

就業規則に定める「副業・兼業禁止」と「懲戒処分」の関係と注意点

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