労働基準法「労働条件の明示」について

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

今回は、働くうえで知っておきたい教養として「労働法の基本(労働基準法)」について解説します。

労働基準法の中でも、意外と知られていないのが「労働条件」の明示に関するルールです。

労働条件とは、賃金や労働時間、休日といった働く上ではもちろん、WLB(ワークライフバランス)のライフの充実にも影響する最も基本的かつ重要事項です。

これらが明確でないと、労働契約を結ぶかどうかの判断ができないですよね。

また、労働契約とは、労働者が一定の労働条件のもとに労務を提供し、それに対し使用者(事業主)が対価(賃金)を支払うことを約束する契約のことをいい、書面による契約はもちろん、口頭による契約であっても労働者・使用者の両者がその契約内容に合意していれば労働契約は成立していることとなります。

ただし、お互いに合意さえすればどのような内容で契約してもいいというわけではありません。

労働契約においては、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定めても、その部分は無効となり、その無効となった部分は労働基準法が定める基準が適用されます。(労働基準法第13条

このように、労働条件は労働契約における重要な約束事になりますので、労働基準法では、その明示についてを以下のように厳格に規定しています。

第15条(労働条件の明示)
1 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条第1項に規定する「厚生労働省令で定める事項」とは、労働基準法施行規則第5条第1項に以下の通り規定しています。

(1) 労働契約の期間に関する事項
(2) 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(3) 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(4) 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(6) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(7) 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(8) 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(9) 安全及び衛生に関する事項
(10) 職業訓練に関する事項
(11) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(12) 表彰及び制裁に関する事項
(13) 休職に関する事項

そして「厚生労働省令で定める方法」とは、これらの内(1)から(5) ((4)の内、昇給に関する事項を除く。)については書面の交付により明示すること、としています。

なお、(1)~(6)は必ず明示しなければならない事項(「絶対的明示事項」とも言います。)で、(7)~(14)は制度を設ける場合に明示しなければならない事項(「相対的明示事項」とも言います。)とされています。

また、就業規則にその対象となる労働者に適用される労働条件が具体的に規定されており、労働契約締結時に労働者一人ひとりに対し、その労働者に適用される部分を明らかにしたうえで就業規則を交付すれば、再度、同じ事項について、書面を交付する必要はないとされています。

正社員の方の場合、労働条件明示書はもらってないけど、就業規則をもらいその説明を受けた、というのがこのケースです。

労働条件の明示はいつ行うもの?

労働基準法では「労働契約の締結に際し」としか規定されていませんが、実は職業安定法という法律において、労働者を募集する際にも労働条件の明示が必要とされています。(注: 2018年1月1日に職業安定法の改正により、労働者の募集や求人申込みの制度が変更されています!)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf

労働条件の明示は正社員だけでなく、パートやアルバイトなどにも当然に適用されます。

当たり前のことではありますが、こうした基本的なことがきちんとできているかどうかで、その企業のコンプライアンスに対する取り組みや労働者に対する姿勢(信頼関係)などが見てとれます。

就職・転職での大事なチェックポイントです。

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