青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)の指針で、企業が遵守すべきポイントは?

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

今回は、若者雇用促進法についての話です。

企業は、労働者を雇用するにあたり、法律などに定める特別の制限に抵触しない範囲内であれば「誰を、どのような条件で雇うか」は原則自由に決定できるとしています。

誰を雇うかは、ある程度の自由を認めるけれど、雇った以上は簡単に解雇を認めないという長期雇用を前提とした日本の雇用慣習によるルールです。

解雇のハードルはすごく高いのです。

労働契約法 第16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

「採用の自由」とはいえ、法律などに定める守らなくてはならない制限事項は数多くあります。

その中に、新卒等若者に主眼をおいた「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」があります。

「勤労青少年福祉法」を改正し、2015年10月に施行された比較的新しい法律です。

この若者雇用促進法の目的と基本的理念は以下のとおりです。

第1条(目的)
この法律は、青少年について、適性並びに技能及び知識の程度にふさわしい職業(以下「適職」という。)の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずることにより、雇用の促進等を図ることを通じて青少年がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
第2条(基本的理念)
全て青少年は、将来の経済及び社会を担う者であることに鑑み、青少年が、その意欲及び能力に応じて、充実した職業生活を営むとともに、有為な職業人として健やかに成育するように配慮されるものとする。

目的と理念にあります適性・能力(技能・知識)に応じて雇用し、意欲と能力に応じて、充実した職業生活ができるよう企業に配慮を求めています。

目的には理由があります。

この法律の背景にあるのは、適性・能力以外(性別、年齢など)を選考基準とする公正採用の問題、入社3年以内の離職率(求人詐欺、ハラスメント、ブラック企業による不合理な離職)の問題などがあります。

厚生労働省は、採用の入り口となる募集時のグレーさを問題視し指針を示しています。

この、誰もが当たり前に思う社会一般的なルールに従って、きちんと採用活動をしているかどうかが重要です。

自社さえ良ければなんでもありの、ルール無用の社会不適合企業や、若者を使い捨てにするブラック企業を見抜く大事なポイントです。

「コンプライアンス経営に取り組んでいます」と方針に掲げていても、雇用の入り口のルールを遵守できてない企業に入社することは、リスクでしかありません。

以下、企業が遵守すべき重要事項(要旨抜粋)です。

就活・転職の際に注目すべきチェック・ポイントです(令和3年に一部改正されています)。

「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、 職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針 (平成27年厚生労働省告示第406号) (最終改正 令和3年厚生労働省告示第187号)」

募集に当たって遵守すべき事項

○ 従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を可能な限り速やかに明示しなければならない。

○ 従事すべき業務の内容等を明示するに当たって は、次に掲げるところによらなければならない。
・明示する従事すべき業務の内容等は、虚偽又は誇大な内容としない
・労働時間に関しては、始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日等について明示すること。
・賃金に関しては、賃金形態(月給、日給、時給等の区分)、基本給、定額的に支払われる手当、通勤手当、昇給に関する事項等について明示すること。また、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うこととする労働契約を締結する仕組みを採用する場合は、名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金(固定残業代)に係る計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する労働時間数及び金額を明らかにする)、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと等を明示すること。

○ 従事すべき業務の内容等を明示するに当たって は、次に掲げるところによるべきであること。
・原則として、求職者又は募集に応じて労働者になろうとする求職者等と最初に接触する時点までに従事すべき業務の内容等を明示すること。
・従事すべき業務の内容等の事項の一部をやむを得ず別途明示することとするときは、その旨を併せて明示すること。

○ 従事すべき業務の内容等を明示するに当たっては、次に掲げる事項に配慮すること。
・求職者等に具体的に理解されるものとなるよう、従事すべき業務の内容等の水準、範囲等を可能な限り限定すること。
・求職者等が従事すべき業務の内容に関しては、職場環境を含め、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること。
派遣労働者として雇用しようとする者については、書面の交付等により行わなければならないこと。
(イ) 従事すべき業務の内容に関する事項
(ロ) 労働契約の期間に関する事項
(ハ) 試みの使用期間に関する事項
(ニ) 就業の場所に関する事項
(ホ) 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休 日に関する事項
(ヘ) 賃金(臨時に支払われる賃金、賞与、精勤手当、勤続手当及び奨励加給又は 能率手当を除く。)の額に関する事項
(ト) 健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事 項
(チ) 青年を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
(リ) 派遣労働者として雇用しようとする旨

ミスマッチ防止の観点から、募集者等は、青少年の募集又は求人の申込みに当たり、企業の求める人材像、採用選考に当たって重視する点、職場で求められる能力・資質、キャリア形成等についての情報を青少年又は公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者に対し明示するよう努めること。

○ 虚偽の広告をなし、若しくは虚偽の条件を提示して青少年の募集を行った場合、又は虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行った場合は、職業安定法第六十五条第八号又は第九号の規定により、 罰則の対象となることに留意すること。

○ 事業主は、就職活動中の学生やインターンシップを行っている就活生等に対する言動に関し、次に掲げる取組を行うことが望ましいこと。
・事業主が雇用する労働者の就活生等に対する言動について必要な注意を払うよう配慮すること。
事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らの就活生等に対する言動について必要な注意を払うよう努めること。
・職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント及び妊娠、出産等に関するハラスメント(職場におけるパワーハラスメント等)を行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、就活生等に対する言動についても、同様の方針を併せて示すこと。
就活生等から職場におけるパワーハラスメント等に類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、雇用管理上の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めること。

採用内定・労働契約締結に当たって遵守すべき事項等

○ 事業主は、採用内定を行うに当たっては、採否の結果を明確に伝えるととも に、確実な採用の見通しに基づいて行うよう努めること。

○ 採用内定者に対しては、書面の交付等により、採用の時期、採用条件、採用内定の取消事由等を明示するとともに、採用内定者が学校等を卒業することを採用の条件としている場合についても、内定時にその旨を明示するよう留意すること。

○事業主は、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消しは無効とされることについて十分に留意し、採用内定の取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずること。また、やむを得ない事情により採用内定の取消し又は入職時期の繰下げを行う場合には、当該取消しの対象となった学校等の新規卒業予定者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、当該取消し又は繰下げの対象となった者からの補償等の要求には誠意を持って対応すること。

○ 採用内定者について、労働契約が成立したと認められる場合には、当該採用内定者に対して、自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨は、違法な権利侵害に当たるおそれがあることから行わないこと。

採用内定又は採用内々定を行うことと引替えに、他の事業主に対する就職活動を取りやめるよう強要すること等青少年の職業選択の自由を妨げる行為又は青少年の意思に反して就職活動の終了を強要する行為については、青少年に対する公平かつ公正な就職機会の提供の観点から行わないこと。

○労働契約の締結に当たっては、労働基準法(第十五条第一項)の規定により、事業主は、青少年に対して、労働基準法施行規則(第五条第一項各号)に掲げる事項として次に掲げる事項を明示しなければならないこと。この場合において、(イ)から (ヘ)までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)については、書面の交付により明示しなければならないこと。なお、これらの明示された労働条件が事実と相違する場合においては、同法第十五条第二項の規定により、青少年は、即時に労働契約を解除することができることに留意すること。
(イ) 労働契約の期間に関する事項
(ロ) 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(ハ) 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
(ニ) 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(ホ) 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(ヘ) 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(ト) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
(チ) 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与、精勤手当、勤続手当及び奨励加給又は能率手当並びに最低賃金額に関する事項
(リ) 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項 (ヌ) 安全及び衛生に関する事項
(ル) 職業訓練に関する事項
(ヲ) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(ワ) 表彰及び制裁に関する事項
(カ) 休職に関する事項

青少年雇用情報の提供

マッチングの向上のためには、労働条件等に加えて、職場における就労実態に係る情報の提供が重要であることに鑑み、事業主等は、青少年雇用情報の提供に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。
ホームページ等での公表、会社説明会での提供又は求人票への記載等により情報提供することが望ましいこと。
・学校卒業見込者等が具体的な項目の情報提供を求めた場合には、特段の事情がない限り、当該項目を情報提供することが望ましいこと。
・情報提供の求めを行った学校卒業見込者等に対して、当該求めを行ったことを理由とする不利益な取扱いをしないこと。
・情報提供の求めに備え、あらかじめ提供する情報を整備しておくことが望まし いこと。また、その求めがあった場合には、速やかな情報提供に努めること。

意欲・能力に応じた就職機会の提供等

事業主は、青少年の募集及び採用に当たり、就業等を通じて培われた能力や経験について、過去の就業形態や離職状況、学校等の卒業時期等にとらわれることなく、人物本位による正当な評価を行うべく、次に掲げる措置を講ずるように努めること。
学校等の卒業者の取扱い
○ 意欲や能力を有する青少年に応募の機会を広く提供する観点から、学校等の卒業者についても、学校等の新規卒業予定者の採用枠に応募できるような募集条件を設定すること。当該条件の設定に当たっては、学校等の卒業者が卒業後少なくとも三年間は応募できるものとすること
また、学校等の新規卒業予定者を募集するに当たっては、できる限り年齢の上限を設けないようにするとともに、上限を設ける場合には、青少年が広く応募することができるよう検討すること。

学校等の新規卒業予定者に係る採用方法
○ 通年採用や秋季採用の積極的な導入
学校等の新規卒業予定者の採用時期については、春季の一括採用が雇用慣行として定着しているところであるが、何らかの理由により当該時期を逸した青少年に対しても応募の機会を提供する観点から、通年採用や秋季採用の導入等の個々の事情に配慮した柔軟な対応を積極的に検討すること

○ 青少年が希望する地域における就職機会の提供
青少年が希望する地域において就職し、安定的に働き続けることができるよう、国や地方公共団体等の施策を活用しながら、いわゆるUIJターン就職等による就職機会の提供に積極的に取り組むことが望ましいこと。

○ 職業経験が少ない青少年等に対する就職機会の提供
職業経験が少ないこと等により、青少年を雇入れの当初から正社員として採用することが困難な場合には、トライアル雇用、雇用型訓練等の積極的な活用により、 当該青少年の適性、能力等についての理解を深めることを通じて、青少年に安定した職業に就く機会を提供すること。

○ 選考に当たってのいわゆるフリーター等に対する評価基準
いわゆるフリーター等についても、その選考に当たっては、その有する適性、能力等を正当に評価するとともに、応募時点における職業経験のみならず、留学経験やボランティア活動の実績等を考慮するなど、その将来性も含めて長期的な視点に立って判断することが望ましいこと。

○ インターンシップ・職場体験の機会の提供
青少年の職業意識の形成支援のため、事業主においても、学校や公共職業安定所等と連携して、インターンシップや職場体験の受入れを行うなど、積極的に協力することが望ましいこと。
なお、インターンシップに関しては、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成九年九月十八日文部科学省・厚生労働省・経済産業省策定)を踏まえた実施が求められること及びインターンシップや職場体験であっても、労働関係法令が適用される場合もあることに留意が必要であること。

○ 学校卒業見込者等が希望する地域等で働ける環境の整備
青少年が、希望する働き方を選択し、自ら主体的・継続的なキャリア形成を図ることを可能とするためには、より柔軟かつ多様な就業機会の選択肢が必要である。特に、仕事と生活の調和等の観点から、学校卒業段階で希望する地域で就職機会を得、その地域において中長期的にキャリア形成ができる環境整備が求められる。このため、事業主は、ICT利活用の可能性も検討しつつ、次に掲げる措置を講ずるよう努めること。

○ 地域を限定して働ける勤務制度の積極的な導入
学校卒業見込者等が一定の地域において働き続けることができるよう、広域的な事業拠点を有する企業は、一定の地域に限定して働ける勤務制度の導入を積極的に検討すること

○キャリア展望に係る情報開示
学校卒業見込者等が適職を選択し、安定的に働き続けることができるよう、採用後の就業場所や職務内容等を限定した採用区分については、それぞれの選択肢ごと のキャリア形成の見通しなど、将来のキャリア展望に係る情報開示を積極的に行うこと。

事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置
○ 雇用管理の改善に係る措置
事業主は、青少年について、早期に離職する者の割合が高いことを踏まえ、職場に定着し、就職した企業で安定的にキャリアを形成していくため、青少年の能力や経験に応じた適切な待遇を確保するよう雇用管理の改善に努めるとともに、次に掲げる措置を講ずるよう努めること

○ 能力・資質、キャリア形成等に係る情報明示
青少年が採用後の職場の実態と入職前の情報に格差を感じることのないよう、職場で求められる能力・資質、キャリア形成等についての情報を明示すること。

○ 不安定な雇用状態にある青少年の正社員登用等
意欲や能力を有する青少年に安定した雇用機会を提供するため、期間を定めて雇用されていること等により不安定な雇用状態にある青少年が希望した場合に、正社員への登用が与えられるような仕組みを検討すること。

○ 労働法制に関する基礎知識の付与
青少年の労働法制に対する理解促進は、事業主にとっても職場環境の改善やトラブルの防止等に資するものであることを踏まえ、新入社員研修の機会等を捉え、労働法制の基礎的な内容の周知を図ることが望ましいこと。

○ 職業能力の開発及び向上に係る措置
事業主は、青少年の職場への定着を図り、その有する能力を有効に発揮することが できるようにする観点から、職業能力の開発及び向上に関する措置を講ずることが重要であることに鑑み、次に掲げる措置を講ずるよう努めること
OJT(業務の遂行の過程内において行う職業訓練)及びOFF―JT(業務の遂行の過程外において行う職業訓練)を計画的に実施すること
・職業能力開発促進法に規定する実習併用職業訓練を必要に応じ実施すること。
・青少年の希望等に応じ、青少年が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めるために、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度、企業内におけるキャリアパス等についての必要な情報の提供、キャリアコンサルティングを受ける機会の確保その他の援助を行うこと。その際には、青少年自らの取組を容易にするため、職業能力評価基準等を活用すること。また、青少年が実務の経験を通じて自ら職業能力の開発及び向上を図ることができるようにするために、配置その他の雇用管理について配慮すること。
・青少年の自発的な職業能力の開発及び向上を促進するため、必要に応じて、有給教育訓練休暇、長期教育訓練休暇その他の休暇の付与、始業及び終業時刻の変更、勤務時間の短縮の措置等の必要な援助を行うこと。
・各企業における活用状況を踏まえて、必要に応じて、ジョブ・カードを、青少年が職業生活設計及び職業能力の証明のツールとして活用するための支援を行うこと。
・青少年の職業能力の開発及び向上が段階的かつ体系的に行われることを促進するため、職業能力開発促進法の事業内職業能力開発計画の作成、職業能力開発推進者の選任を行うこと。

募集情報等提供事業者による就職支援サイトの運営
事業主が募集情報等提供事業者の就職支援サイトを活用して募集活動を行う場合において、募集情報等提供事業者は、当該募集に関する情報を提供するに当たって、次に掲げる事項に留意すること。
・青少年が、適切に職業選択を行うことができるよう、就職支援サイトで提供する情報はわかりやすいものとすること提供する情報の量を適正なものとすること、青少年の主体性を尊重したサービスの提供を行うこと等について配慮すること
・相談窓口の明確化等、当該事業に係る労働者となろうとする青少年からの苦情を迅速、適切に処理するための体制の整備及び改善向上に努めること。
・学生、生徒等を対象とした事業を行うときは、学業への影響を考慮した適正な事業運営を行うこと。

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