
こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。
若者の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、若者の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずる「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法)が、平成27年10月1日から順次施行されています。
馴染みのない人が多いと思いますが、求人におけるルールとして、結構インパクトのある法律です。
「若者雇用促進法」という法律には、ホームページや会社説明会、求人票で積極的に情報の公開が望ましいとされるいくつかの項目があります。
その中には「過去3年間の新卒採用数・離職者数、平均勤続年数」も含まれています。
▼厚生労働省「若者雇用促進法」の解説サイト
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html
就職情報サイト、学校やハローワークの求人票などで求人情報を公開する際、こうした情報を求められるのが一般的です。
なぜ、国は企業に対して「離職者数」や「平均勤続年数」の公表を求めているのでしょうか。
当事者である若者は、これら公表された数字をどのように評価したらよいのでしょうか。
公表を求めている背景には、若者を使い捨てにするブラック企業の問題があります。
入社3年以内で辞める企業は「悪」だとする。
例えば、
・パワハラがあり職場の人間関がよくない
・長時間労働で酷使されている
・賃金が安すぎる
などといった世にあるネガディブな退職理由を想定しています。
これは、ホワイト企業(健全な企業)であれば、辞める理由なく定年まで働くということが前提の、昭和の時代の一般論によるものです。
もちろん、3年以内の離職には、前向きな理由も存在します。
・退職した企業は入社3年ぐらいの職務経験でさらに高いレベルの企業へ転職できるほど効率の良いキャリアアップができた
・短期で起業できるほどの経験と実力が身についた。
これは外資系などに多いのですが。
3年以内の離職率が低い理由に問題がある場合もあります。
・その企業の職務経験は他では評価されず、キャリアアップの転職ができずにやむなくとどまっている
・辞めたくても無理ムリ引き止められ退職できずにいる
離職率が低いということが必ずしも良いわけではなく、もちろん悪いわけでもなく、重要なのは、なぜそうなのか、単に数字ではなく、その数字に秘められた真意にあります。
この法律には、3年という基準の根拠も示されていません。
むしろ1年以内、いや半年以内での離職率の方が参考になりそうです。
また、公表を求められるデータは、企業の自己申告によるものなので、裏付けもありません。
皆さんも思うように、そもそもブラック企業が不利になる情報を正しく公表するでしょうか?
いくつかの疑問が残ったままです。
若者の雇用促進について本気で取り組むなら、客観性があり、信頼性の高い、意味のあるデータを公表すべきですよね。
たとえば、求人を取り扱うハローワークには、従業員の資格の取得と喪失(入社と退職)のデータや、雇用保険などの加入状況、離職の理由についての情報があります。
また、労働基準監督書には、36協定など就労に関する届出、労災事故のことなど、そうしたことがきちんとされてるかどうかや法令に違反した企業の情報があります。
さらに労働局には、企業の労務に関する種々の情報があります。
年金事務所には、厚生年金・健康保険の加入状況や保険料の納付に関する情報があります。
ハローワークと労働基準監督書は労働局の、労働局と年金事務所は厚生労働省の配下にあります。
これは一例ですが、こうした現に存在する企業の労務情報を統合し、活用することで、真に有用な情報の公表ができるはずだと思います。
IT・IoTの技術で効率よく、客観的な情報を効果的に活用できるように。
要は、形だけで終わりなのか(住民基本台帳、マイナンバー制度のような)、魂を込めてやり遂げる本気の問題解決なのか。
ブラック企業が存在しない環境作りは、働く人の働きがい・生きがいに直結します。
意志のあるキャリアチェンジが、様々なイノベーションを創出します。
これらが相乗的にうまく機能すると日本産業の持続的成長も期待できます。