「アベノミクス対策」を整理してみると

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

アベノミクスの成長戦略では、成熟産業から成長産業への「失業なき円滑な労働移動」、職種や労働時間等を限定した「限定社員」という働き方、残業手当のないホワイトカラーを対象にした「新たな裁量労働制」など、雇用制度の改革が提案されています。

では、実際にこれらが導入された場合、雇用はどのように変わるのでしょうか?

何を想定すべきでしょうか?

アベノミクスのシナリオ通りに経済環境が好転した場合

少子化による若年層の労働人口の減少が進む中、好景気による人手不足が追い打ちをかけて、慢性的な労働力不足が想定されます。仕事はあるけど人がいない状態です。

新卒はもちろん、中途採用市場も活況を呈し、限られた労働力の激しい争奪戦が繰り広げられる超売り手市場です。

労働力を増やすためには、女性や高齢者のさらなる社会参画が必要となり、個々の生活スタイルに応じた、イキイキとやりがいを持って働ける職場環境と雇用スタイルの充実が求められます。

このような状況下においては、正規社員と非正規社員、そしてその中間である限定社員という働き方を、自身のライフスタイルに応じて自らの意志で選べるということは、雇う側にとっても働く側にとってもメリットを見出すことは可能です。

また、好景気を背景に労働の質と量の強化を図っていく成長産業にとって、スキルはあってもそれを発揮するポジションが少ない成熟産業の人材は、まさに人財です。

育てるより即戦力を外部から調達する。

正常な雇用の流動化・転職の促進により活躍の機会が増えるということは、雇う側にも雇用される側にも、お互いにメリットがあります。

しかし、これは例え緩やかでも右肩上がりの経済成長が前提です。

経済状況が悪化すれば一転します

解雇が容易な正社員が増えれば増えるほど、合法とされるリストラが横行し、大量の失業者であふれしまうことは目に見えます。

想定すべきはこの状況です。

過去に起きた、リーマンショックの派遣切りの時と同じような現象です。

派遣切り問題の原因は、改悪とも言われている労働者派遣法の改正にありました。

それまで特定の業務に限定していた派遣事業が、規制緩和の名の下に一部の業務を除いて原則派遣が自由に。

非正規社員を便利な調整弁として法律で解放したわけです。

例えば、禁止であった製造業の派遣が可能になり、正社員を人件費を派遣社員に置き換えるなど、企業は利益を上げるための人件費抑制の手段として非正規社員を積極的に活用しました。

雇用の機会は増えたわけですが、その多くは不安定な雇用。

そして、リーマンショックによる景気の急激な悪化と、非正規社員の雇用契約の打ち切りへと。

歴史は繰り返す⁉︎

こうした過去の出来事を振り返ると、今回の雇用制度の改革は同じような問題を引き起こすことは十分に想定できます。

まず、アベノミクスの雇用制度の改革は、経済成長実現のための補作であると考えるべきです。

さらに、70歳定年制度(=70歳年金支給開始)に向けた雇用の継続とセットで解雇規制を緩和するという企業側優位の雇用調整システムが段階的に強力に進められると想定しておくべきでしょう。

国が進める「限定正社員」といった柔軟な働き方や、雇用の流動化・転職促進を推進するために「雇用維持型から労働移動支援型への転換を図る」といった施策は、本来誰もが、どこでも働いていくことができるスキルを持っている事で実現可能です。

そうした準備がないままに、雇用の流動化が図られるということは、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)があるか否かで二極化します。

自らの意志でキャリアチェンジができる人と、会社の都合でキャリアチェンジを強いられる人とに。

アベノミクスの成長戦略下で自分らしく働き続けるためには、自分のスキルアップに責任を持ち、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を維持・向上していくことが求められます。

今まで以上に。

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