人を大切にする会社か?見極めのヒントとコツ 〜高年齢者確保措置について ②「対処」か「対策」か〜

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

「当社は人を大切にする会社です!」「社員は財産です!」と声高らかに話す経営者、実に多いです。でも、これはごくごく当たり前のこと。当たり前のことをあえて強調して言うことのほうが、むしろ胡散臭く(ブラックぽく)感じますよね。

企業経営において重要な、ヒト・モノ・カネ・情報(4大経営資源)。その中でも、モノ・カネ・情報を活用するのがヒト(人材)。そう、すべてはヒト(人材)次第。ヒト(人材)の確保、育成、成長、活躍(価値創出・働きがい)の好サイクルが、いつの時代も企業経営の基本です。

そして、ヒト(人材)には「感情」があります。経営(エンゲージメント経営)のポイントはそこにあります。

前回は、高年齢者確保措置における雇用のリスクの視点から人を大切にする会社かどうか?その見極めのヒントとコツについてお話ししました。

今回は、高年齢者確保措置における経営の基本姿勢から人を大切にする会社かどうかを見極めるヒントとコツをお話しします。

なぜ「高齢者雇用確保措置」「人生100年時代」なのか?

高齢者雇用確保措置の内容については前回の記事でご確認いただけると幸いです。

人を大切にする会社か?見極めのヒントとコツ 〜高年齢者確保措置について ①雇用のリスク〜

すべては、少子化・高齢化という長く問題視されてきた日本存続の大テーマを放置(政府が)してきたことに起因します。

育児休業法の改正でパパ育休など育児の環境整備に力を入れだしたのもここ数年のこと。毎年のように改正が続いて仕組みが複雑化しています。

長く政策と掲げられながら問題が生じたらその時々に対処する場当たり的なやり方の繰り返し。この近視眼的な対応では、少子化という長期的な課題は改善されることなく、若年労働人口は減少し、高齢化により年金世代は増え続ける一方です。

年金の支給が困難となれば、年金の支給開始年齢を60歳から65歳へと後ろにずらす。しかし、法令上、定年退職年齢は60歳を下まわらないと定めているので、60歳で定年退職してしまうと65歳までの間は無収入期間となり生活できなくなってしまう(年金制度の崩壊による社会福祉の破綻)。無収入期間が生じ、生活困窮者が生じることがないように、政府が企業側に雇用確保を義務付けたわけです。

近ごろよく聞く「人生100年時代、年齢に関係なく、働ける人には長く社会で活躍を!」という政府の方針は、残念ながら後付けです。法改正により施行された70歳までの就業確保措置(企業の努力義務)も同じ。政府のシナリオは明確です。

まず、公務員の定年を65歳にし、しばらくして、雇用の公平性を保つためとか何とか理由づけし、民間企業の定年を65歳に引き上げる法改正。65歳から70歳までは希望者全員を雇用する制度改正で、年金の支給開始を65歳から70歳まで段階的に後ろにずらしていく。

そう、これは改悪と言われた過去の歴史の繰り返しです。政府の少子高齢化対策の失敗のツケが企業経営と国民の暮らしをいじくり回しているのです。悲しいかな、これが日本における労働環境の実態です。

消費税増税っていったい・・・。いまさらですが、やっぱり政治(政治家)って大事ですね。

「対処」か「対策」か?

この日本における労働環境の実態を踏まえ、その当事者の一方となる企業がどのような経営方針(人材活用方針)を掲げ取り組むかにより、企業存続の明暗がハッキリ分かれてきます。少子高齢化の問題はそのまま企業における人的資源の問題です。経営者にとって最も重要な課題です。

60歳以降は年金支給開始までのつなぎと福祉的な姿勢で考えるのか、60歳以降も年齢に関係なくこれまでどおり長く能力と成果の発揮を期待するのか。出てきた問題の「対処」か、限りある人的資源の有効活用を念頭に置いた「対策」として取り組むのか。

「対処」として考える経営者は、60歳以降の労働者の賃金をコストとしてとらえます。当然、コストはなるべく減らしたいと考えます。65歳までの定年延長や定年制の廃止などしてしまうと、理由なく簡単に賃金を下げることはできません。なので、60歳定年を維持し、定年退職以降は希望者全員を1年ごとの契約による契約社員として再雇用する制度を導入します。再雇用時に新たな労働契約を締結することになりますので、定年時の賃金よりも低い賃金で雇用します。とはいえ、定年退職後の再雇用契約の場合といえども、当然に最低賃金法は適用されますし、期間の定めのある雇用契約により有期雇用労働者となりますので、同一労働同一賃金の法規制が適用されることになります。

限りある人的資源の有効活用を念頭に置いた「対策」として取り組む経営者は、高年齢者の雇用促進だけでなく、女性活躍推進、障害者雇用促進など多様な人材の活用にも積極的な姿勢を内外に示し、実践しています。

60歳定年による再雇用制度が良くない、65歳定年や定年年齢の廃止が良いというわけではありません。法律により仕方なく「希望者は雇ってあげる… 」という他律的な考え方か、年齢を問わず「活躍できる人にはさらに活躍して欲しい!」と自律的に考えるか、人を大切にする会社かどうかは、この経営の基本姿勢の違いによります。

たとえば、どうでしょう。皆さんのお勤め先の高年齢者の方々が生き生きと働いているか(人財)、定時までただなんとなく居るだけなのか(人在)、会社に対する不満ばかりで職場の雰囲気を乱しているのか(人罪)、どうですか?

それがお勤め先の経営(経営者の人材戦略の有無と質)の違いです。コレ、わかりやすいですよね。50代でも約4割と半分近くの人たちが転職を考えるというのも納得です。

50代も約4割が転職を考えている⁈「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」から読み取れる大事なこと

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