日本の労働者の賃金はなぜ低いまま? 改善策は??

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

止まることを知らない物価の上昇。一方で、生活の基本となる賃金はなかなか増えません。収入アップのために海外で働く人が増えたりもしています。

長く続く低賃金の時代

そもそも、なぜ日本の労働者の賃金は低いままなのでしょうか?

歪な賃金支払いシステム

賃金が低い理由はいくつかあります。まず、日本の労働市場が長年にわたって企業中心の雇用システムを採用してきたことです。日本の企業は、従業員の忠誠心や安定した雇用を求めており、長期雇用の約束と引き換えに、賃金を抑えることが普通でした。

企業側にとっては、解雇をしにくい代わりに最低賃金さえ保障すれば賃金の低さが容認され、労働者に高い賃金を支払わなくても雇用関係が維持できたのです。

この日本型雇用システムの賃金の概念とは、その時々の労働の対価で支払われるのではなく、勤続年数の長さで賃金が上乗せ(定期昇給)されるものです。その上乗せ分は、実は、勤続年数が短いが故の低賃金時代の未払い賃金(搾取)であり、長く勤めることで未払い分の賃金を回収できたわけです。これが、年功序列型賃金システムの考え方です。企業への忠誠心が暗黙のルールですので、定年退職よりも前に転職などで中途退職すると、過去の労働対価の未払い賃金分を放棄(企業が搾取したまま)するという、今となっては、極めて歪な賃金支払いシステムでした。

勤続年数が長くなるほど、その支給額が増える退職金制度もそうです。これも、賃金の先送り支給のひとつです。勤続3年未満の自己都合退職(転職)には退職金を支給しないという制度基準が今でも一般的で、これこそが企業への忠誠心に対するペナルティ的要素が色濃く残っている日本型雇用システムの典型例です。

入社3年以内の転職。いまの時代、石の上にも3年って? 

年功序列型から成果主義、能力主義の賃金体系に制度が移行してきたとはいえ、日本企業の中には、まだ何かしら年功的な要素(勤続や年齢)で賃金が支払われているのが実態です。

これは、厚生労働省の「賃金引き上げ特設ページ」の平均的賃金のデータを見ても明らかです。(年齢が上がるにつれて賃金が右肩上がりとなっていますが、定年退職の60歳でガクンと下がっています。わかりやすいですね)

昨今、正社員と非正規社員(有期雇用社員)との賃金等の格差を是正するため、同一労働同一賃金を法制化し適用していますが、正社員同士の同一労働同一賃金(ジョブ型)は企業の倫理観に委ねられており、なかなか導入できてはいません。これは、日本の雇用文化が、新卒一括採用と教育研修による育成で総合力を身につけ成長し、それに応じて成果のレベルを高めていくという「メンバーシップ型」が根底にあるからです。

コストとしての賃金

さらに、日本の経済状況も影響しています。近年は、人口減少や高齢化が進み、需要が低迷している分野が多いため、企業が新たなビジネスを創造し、成長を維持することが困難になっています。このため、企業側は利益を維持するために、賃金を抑えることが必要になる場合があります。コストカットの中に賃金が含まれているからです。

賃金をコストと考える経営者のもとで働く労働者のモチベーションは維持できません。働きがいやエンゲージメントなどは皆無です。したがって、生産性も上がりません。その低い賃金に見合った範囲の仕事に終始するのでキャリア形成もできません。付加価値も生まれず、サービスも劣化し、売上利益の減少によるさらなるコストカットという負の連鎖。人材が、ただいるだけの「人在化」してしまいます。

当然、退職者も増えますので、採用と定着のために初任給や若者の賃金は見栄え良く高く設定します。しかし、その分のしわ寄せは中高年層の処遇へ及び、昇給無しか微増、賞与は増えず。利益の配分先が若い世代中心になり、あとは放ったらかしに。賃金の高い中高年層(おじさんたち)の自主退場(離職)を歓迎する経営者すらいます。ここに、よく言われる「働かないおじさん問題」の原因もあります。最初から働かない人はごく稀です。どこかの何かのきっかけで意識が変わるわけです。そして、その「働かない◯◯問題」の多くは、従業員の心と感情を無視した経営のマズさ(人事戦略の無さ)が大きく影響しています。

最近では、政府が企業に対し賃金引き上げの取り組みを積極的に働きかけています。しかし、これまでの長年の制度や慣習を変えることは簡単ではなく、労働市場の構造や経済状況の変化など、複数の要因を総合的に考慮する必要があります。

また、人事戦略なく無造作に賃上げを行うことによって経営が成り立たず、結果、経営破綻してしまっては元も子もありませんし。

改善策

日本の労働者の賃金を改善する方法には、いくつかのアプローチがあります。以下にいくつか例を挙げてみます。

労働市場の柔軟化

労働市場の柔軟性を高めることで、企業が新しいビジネスを創造しやすくなり、需要の低迷する分野でも成長が可能になります。

また、労働市場が流動化し活発化することで、労働者もより生産的で高い能力を発揮するようになります。これにより、企業が労働者により高い賃金を支払う必要性が増えると考えられます。

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労働者のスキルアップ支援

労働者がより高いスキルや能力を身に付けることで、企業は労働者により高い賃金を支払う必要性が生じます。もちろん、これは労働市場の柔軟化(人材の流動化)とも密接に関係します。政府や企業が、労働者のスキルアップ支援を進めることで、労働者がより生産的になり、企業も成長することが期待できます。

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賃金の透明化

企業が賃金を透明化することで、同じ仕事をしている人が同じ賃金を得られるようになり、賃金格差を解消することができます。また、企業が賃金を透明化することで、他の企業との競争が促進され、労働者にとってより高い賃金を得る機会が増えると考えられます。

これらのアプローチは、単体では賃金を改善することが難しい場合もあります。しかし、これらのアプローチを総合的に取り組むことで、日本の労働者の賃金が改善することが期待されます。

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