
こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。
「我が国の持続的な発展のためには、若者の人材育成が必要不可欠であり、学生が学業に専念し、安心して就職活動に取り組める環境をつくることが重要である!」という理由から、政府が(以前は経団連が)「就職・採用活動に関する要請」として求人を行う企業に対し以下のとおり「学生の就職・採用活動日程」の遵守についてを要請しています。
ただし、これはあくまでも要請で、罰則を伴うものではありません。
・広報活動の開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
もし、学生の皆さんがこの政府の要請するスケジュールに従って就活を始めると大変なことになってしまいます。
完全に出遅れてしまいます。
採用を目的としたインターンシップは、とんでもなく早い時期から始まっています。
また、採用選考活動開始の6月1日前までに選考が終わり、内定が出ている企業も多数というのが実際です。
なんだか、おかしな話ですよね。
政府からの要請ですが、これに従っている企業は極めて稀なんです。
理不尽な話ですが、これが日本の雇用慣習の実際なんです。
優秀な人材を採用するには、他よりも早く活動しなくてはという、社会全体の利益より、己の利益を優先し(他もやってるからウチもという低レベルの同調主義で)採用活動を行っている企業が多いのです。
また、要請という言葉の解釈によるところも大きいです。
義務規定以外の「要請」や「努力義務」レベルは「しなくてもいい」というご都合主義的な理解が企業にはあるのです。
コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、従業員には社会のルールを守るようにと厳格な指導をしているのにと、矛盾と疑念しかありません。
と、おかしな話ですが「新卒の就活」とは、理不尽さを受け入れ、それに対する耐性を身につけて、実社会に同化していくことが日本の伝統なんです。
ところが、正式な内定日だけは企業に統一した動きがあります。
多くの企業は、10月1日に「内定式」を行うのが長く通例になっています。
「採用内定通知書」を交付するセレモニーを行うのが一般的です。
企業からの採用内定通知書で、雇入れの日(入社日)を確定し、労働条件通知書で入社後の賃金や休日など労働基準法で定められた事項が書面で明示されます。
労働条件の明示は、アルバイトなどと同じ、労働基準法で定められたルールです。
採用内定承諾書の提出を指示される場合も多いです。
これは、労働条件通知書の内容と内定の取り消し事由についてを確認し承諾するものです。
内定取り消しの事由とは、例えば、卒業できず雇入れ日に入社できない場合など、学生という身分であるがゆえの特別な事由によるものです。
通常は、これらの手続きにより正式内定(労働契約が成立)となります。
そして、この正式内定以降は、先の卒業うんぬんのような特別な事由がないと内定の取り消しはできません。
内定取消しは無効になることもあります
労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取り消しは無効とされることに十分に留意し、採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力などを行うこと。やむを得ない事情により採用内定取消しなどを行う場合には、就職先の確保について最大限の努力を行うこと。
※ 職業安定法施行規則第35条第2項では、採用内定取消しなどを行おうとする事業主は、所定の様式により、あらかじめ、公共職業安定所等に通知することとなっています。(厚生労働省)
内定取り消しは、従業員を解雇する場合と同様、企業にとって相当ハードルが高い、とても難しいことです。
ところで、政府の要請をスルーしているのに、10月1日の内定式を一律的に行うのは奇妙ですよね。
これは、企業にとって重要なセレモニーなんです。
自社の内定承諾を見極める「踏み絵」みたいなものなんです。
10月の正式内定までの間は、内々定という通知を受けることが一般的です。
口頭やメールなど伝え方はいろいろですが「10月1日に正式に内定を出します」「内々定です」というよう通知が多いです。
この時点では、まだ労働契約が成立していませんので、他社の選考を進めること、重複内々定ということはごく自然なことです。
内々定以降、企業は内々定者が10月1日の自社の内定式に出席してもらうためのフォローを行います(逃げられないような囲い込み策)。
多くの企業が10月1日に一斉に内定式を行えば学生の身体はひとつ、最終意思決定を行わなくてはなりません。
内定式に出席した学生が正式内定者として見込めることになります。
10月1日の内定式まで、実は学生以上に採用担当者はドキドキものです。
本当に来てくれるのだろうかと不安で。
就活生からすると厄介なのが内定と内々定。
どう違うのかよくわかりにくいのですが、一応その違いはあるのです。
新卒採用における内定とは、採用選考の結果、企業が入社を希望する学生に「採用内定通知書」と「労働条件通知書」を交付することで雇用の意思(この条件であなたを採用したい!)を明示し、学生は企業に「入社内定承諾書」を提出することによって入社意思(この条件で貴社で働きたい!)を明示することで、お互いの意思の合致により労働契約が成立する、ということです。
新卒採用における内々定とは、企業から「正式内定(10月に)する予定です」という事前約束のようなものです。
口頭、電話、メール、LINEなどで一方的に伝えられることが多いです。
内定と内々定の決定的な違いは、労働契約が成立しているかどうかです。
労働契約が成立していなければ法的拘束力は生じません。
したがって、労働契約が成立していない内々定の場合、企業も学生も自由に取り消すことができると解されています。
とは言え、口頭の内々定通知であっても、学生が他社の選考や内定を辞退することは普通にあります。
もし、その後に内々定の取り消しが生じると、本人が被る不利益は相当なものになります。
内々定とは言え、内定と同様「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」でない場合は、そう簡単に取り消すことができるものではありません。
正式内定により労働契約が成立した場合、学生に対しても法的拘束力が生じます。
しかし、労働者が自己都合で退職できるのと同様、労働契約は労働者側から2週間前に申し出れば解約できるという民法の規定が適用されます。
したがって、学生に対する拘束力は強いものではなく、社会人としての規範的なものにとどまります。
例えば、内定後に他社の内定を持つことや、内定しながら新たに他社の選考を受けること(転職活動のようなものです)も法律上の問題はありません。
逆に、企業が内々定や内定に際し、他社の選考や内定の辞退を条件とすること(オワハラ)は、本来自由であるべき就職活動を制限するものとして厳に慎むよう企業に指導されています。
就活サイトの退会を要求することもこれに含まれます。
これらはブラック企業の典型的な採用手法です。
従う必要はありません。
また、募集のときの労働条件と内定時の説明が異なる場合(いわゆる求人詐欺)は、即時の内定解除も認められています。
企業からこうした理不尽で困惑してしまう行為があった場合、ひとりで抱え込まず、すみやかに学校・ハローワークに相談するようにしましょう。
内定辞退について学生が留意することもあります。
規範的なことで、常識的なことです。
内定辞退によって企業や学校(企業から辞退報告が当然あります)などに少なからず影響を及ぼすことになります。
入社日が近くなればなるほど影響が大きくなります。
勝手な対応が後輩の就活に悪い影響を及ぼしてしまうことはよくあるトラブルです。
その点をしっかり理解し、関係者に対しなるべく早めに、適切な態度で対応することが重要です。
社会の一員としての基本的なマナーが必要とされるのも就活です。