本気の「働き方改革」についてひと言

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

政府が進める「働き方改革」。

中でも、長時間労働・過重労働の問題については、優先順位を高く、スピード感をもって、その解消を検討しているようです。

どのような具体策が提示されるのか、今後の動向がとても気になるところです。

というのも、長時間労働・過重労働による過労死やメンタル不調については、今に始まったことではなく、長くずっと問題視されながら、労働時間を規制する、肝心要の労働基準法が見直されることはなく、決定的な解決策が講じられることなく今に至っているのが実状です。

「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)という通達で、長時間労働による過重労働は、次のとおり医学的にも問題アリということは認められています。

長時間にわたる過重な労働は疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られている。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、当該医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくとともに、労働者に疲労の蓄積を生じさせないようにするため、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要である。

これに基づいて実現したのは、労働安全衛生法による、時間外労働・休日労働が、100時間超や2〜6か月で平均80時間超について、産業医等医師による面接実施の義務化です。

過労死ライン(=労災認定の目安)とされる時間外労働の時間が明確になりました。

しかし、これは長時間労働を行った結果に対する措置であり、直接、長時間労働・過重労働の防止に働くものではありません。

むしろ、36協定による特別条項手続きを適法に行い、産業医等医師による面接を実施するシステムを確立さえすれば、80時間超の残業も可能である、というのが企業側の認識の実際でしょう。

「させない」ではなく、健康面に問題さえなければ「させてもよい」と。

これでは、長時間労働による過重労働の問題を根本的に解消するという動きには至りません。

そして、置いてきぼりにされた長時間労働の問題により起きたとも言える、今回の電通事件

労働安全衛生法による医師等による面接が、電通において、どのようになっていたのか、そのあたりも今後明らかになることでしょうが、事件の状況からみれば、機能してなかったであろうということは、誰もが想像できます。

来年2017年1月1日には、改正育児介護休業法が施行されます。

今回の改正で1番のポイントは、介護による短時間労働や残業の免除といった、仕事と介護の両立支援の実現です。少子化高齢化が進んでいる状況からすると、今後そうした申し出による働き方が増えることは容易に想像できるでしょう。

育児や介護に限らず、社員の抱える事情は、今後ますます多様化し、複雑化していくと思われます。いよいよ本気で、国も企業も、長時間労働のない働き方にシフトしないといけない、ワークスタイルの変革期を迎えたと言えるでしょう。

そして、本気で「働き方改革」を進めるなら、今こそ労働基準法を見直すべきです。

法定労働時間を超えての労働を禁止し、36協定があれば1か月45時間、1年で360時間の残業ができ、さらに特別条項の記載があれば、残業時間の制限がなくなるというルール。過重労働をなくすのであれば、やはり特別条項は廃止です。そして、求人の際には、36協定に定める延長時間の明示を義務化する。

働く人の事情を考慮した、求人内容の範囲の拡大と統一は「どこで、どう働くか」を検討する上でとても重要になります。

そして、求人詐欺をなくすため、新卒採用中途に限らず、例え民間の就職情報会社を利用してでの求人であっても、求人の際は必ずハローワークに求人情報を提出することを義務付ける。

ハローワークでの求人許可番号がない求人は一切公開できないようにする。

賃金や休日、残業など、求人情報と実態が違った場合、一定期間、求人許可を行わないなど。

ライフを軸にワークを考えるこれからの時代、求める働き方をきちんと選べる仕組み作りが必要であると思います。 

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