FAQ:通勤交通費の支給について

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

支給の基準が会社によってまちまちですが、そもそも通勤にかかる交通費は必ず支給されるものですか?
求人票や募集要項に記載されている「通勤交通費」についての就活者からよくある質問です。

結論から言いますと、通勤にかかる交通費の支給に関して、使用者には支給の義務はありません。

最低賃金のように法令で定められたものではありませんので、支給するどうか、支給の場合のルールは会社で決めることができるのです。

住込みなどでない限り、通勤は労務の提供に密に繋がる毎日必要なことなのに、なぜ賃金のように支給が義務付けられていないのでしょうか?

まず「賃金」とは、労働基準法で次のように定められています。

労動基準法11条「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」

通勤にかかる交通費が「労働の対償」になるかどうかにより、その扱い方が異なるのです。

労働契約を結ぶと、労働者はその契約に定める場所で労務を提供する必要があり、自らその場所に赴く義務が生じます。

これを法律の用語で「持参債務」と言います。

労働者が労務を提供する場所に労働を持参することです。

これは労働者の責任と義務です。

したがって、「通勤」という行為自体は、労務の提供そのものではなく、労務を提供するために労働者に課せられた義務なので、使用者(会社等)がその費用を負担する必要はないのです。

前掲の質問にありますように、支給の基準がまちまちであるというのは、支給する・しないは会社の自由裁量で決めることができるので、支給方法もそれぞれ異なっていて何も問題ないのです。

とはいえ、多くの会社等では、なんらかの基準により通勤にかかる交通費を支給しているのが実際です。

優秀な人材を獲得し、長く活躍してもらうためには、労務とは直接関係のない費用とはいえ、会社が負担することは、ごく当たり前のことになっています。

いくら賃金の支給額が多くても、通勤交通費が全額自己負担で、その額が多ければ多いほど、実質の手取り賃金が減ってしまいます。

生活に直結する大事なことですので、求人票等でしっかり確認しておく必要があります。

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通勤交通費の支給は、会社の都合と基準(ルール)で決められるわけですが、支給する場合は「就業規則」にそのルールが明記されています。(常時10人以上の労働者がいる場合は、就業規則を作成し労働基準署に届出ることと、労働者への周知義務が労働基準法に定められています

就業規則に通勤に関する交通費の支給に関する定めが明記されている場合、交通費とはいえども「労働基準法の賃金」となり、労働基準法が適用されます。支払いの5原則も適用されます。

会社によっては就業規則とは別規程(賃金規程、通勤規程など)に明記している場合もありますが、それらは就業規則の一部となりますので、もちろん同じ扱いになります。

労働者が10人未満で就業規則がない場合は、雇用契約書労働条件明示書への記載内容がそれにあたります。

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