会社の見方:人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性と言われる今の時代の企業経営において重要なこととは?

こんにちは、Gene-K(@SmileWork_LAB)です。

現代の企業経営において「人的資本経営」「エンゲージメント」「心理的安全性」は、どれも非常に重要な概念です。働く人にとっても、これを理解し、常に自社を評価することが重要です。ここでは、それぞれの重要性についてのポイントを説明します。

人的資本経営

人的資本経営は、従業員を重要な資源として捉え、投資や育成を通じてその能力やスキルを向上させることを目的とした経営です。

人的資本経営を重視することで、企業は従業員の能力向上につながる教育・訓練を提供し、従業員は自己実現や成長を実現することができます。この結果、企業は従業員の能力を最大限に引き出し、生産性や競争力を高めることができます。

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エンゲージメント

エンゲージメントは、従業員の仕事に対する熱意や関与度合いを表す概念で、従業員が仕事に対して熱心に取り組むことにより、企業の業績や成長に寄与することができるということです。

エンゲージメントを高めるためには、従業員の意見を尊重し、コミュニケーションを密にすることが重要です。また、従業員に対して適切な評価や報酬、教育の機会、福利厚生を提供することも、エンゲージメント向上につながります。

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心理的安全性

心理的安全性は、従業員が自分の考えや意見を自由に表明できる環境を指します。この環境が整っていると、従業員は自己実現や創造性を発揮しやすくなり、企業のイノベーションや成長につながることがあります。

一方で、心理的安全性が低い場合は、従業員が自分の意見を言いにくくなり、問題や課題が解決されないまま放置されることがあります。近ごろよくある企業の不祥事の問題も心理的安全性が関係していることが珍しくありません。したがって、心理的安全性を確保することは、企業経営において非常に重要です。

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企業経営にとってのメリット

企業経営において、人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性を重視することは、以下のようなメリットがあります。

競争力の向上

従業員の能力を最大限に引き出し、エンゲージメントを高め、心理的安全性を確保することで、企業はより高い生産性や品質を実現し、競争力を高めることができます。

従業員の定着率向上

従業員が能力を伸ばし、やりがいを感じ、意見を言いやすい環境が整うことで、従業員の定着率が高まります。これにより、人材採用や育成にかかる費用を削減することができます。

イノベーションの促進

心理的安全性が確保され、従業員が自分の考えを自由に言える環境が整うことで、新しいアイデアや提案が生まれやすくなり、イノベーションの促進につながります。

社会的責任の達成

企業は、社会的責任を果たすことが求められています。人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性を重視することは、従業員に対して適切な待遇を提供することにつながり、社会的責任の達成に役立ちます。

なぜ今になって?

経営として当たり前とも思われるこのような基本的なことが、今になって重要視される要因はなんでしょうか?

日本の経営において、人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性が問題視されるようになった理由はいくつか考えられますが、例えば以下のような点が挙げられるでしょう。

人材不足

日本は、少子高齢化により労働人口の減少が進んでいます。そのため、優秀な人材を確保することが困難になっており、人材不足が深刻な問題となっています。そのため、企業は従業員を長期的に雇用し、能力を引き出すことが必要になっています。

労働環境の変化

かつてのように、終身雇用や年功序列が当たり前だった時代から、フレキシブルな働き方やキャリア形成が重要視されるようになり、労働環境が大きく変化しました。そのため、従業員のエンゲージメントや心理的安全性が重視した経営が求められるようになりました。

外部環境の変化

グローバル化が進んだことにより、企業は海外市場での競争力を高める必要があります。そのため、従業員の能力開発やイノベーションの重要性がさらに高まり、その根幹をなす従業員のエンゲージメントや心理的安全性が必要不可欠なものとなっています。

日本と諸外国との比較

人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性に関する取り組みにおいて、日本と他の諸外国と比較するといくつかの課題が指摘されています。

まず、日本の企業文化は、長年にわたって終身雇用や年功序列などのシステムが定着しており、能力は長い職務経験の中で身に付けていくものとしてきました。したがって、体系的な能力開発やキャリア形成が不十分であるとの指摘があります。そのため、企業は従業員を育成するための取り組みを強化する必要があります。

また、日本企業には、上層部と下層部門の距離間が大きく、上層部からの指示に対して従順な下層部門の文化があるとの指摘があります。そのため、従業員が率直な意見を述べにくい、心理的安全性が不十分な状況が生じることがあります。

さらに、海外企業に比べて、日本企業の従業員の労働時間が長いことが指摘されています。長時間労働は、従業員のエンゲージメントや心理的安全性に悪影響を与える可能性が高く、ワークライフバランスにも支障をきたします。企業は労働時間の短縮や業務の見直しといった、従業員目線での働き方改革に取り組むことが求められています。

人権問題との関係

人的資本経営、エンゲージメント、心理的安全性などの企業経営に関する問題と人権問題は密接に関係しています。

人的資本経営:人的資本とは、従業員の能力、技能、知識、経験、健康などの要素を含んだ資産です。従業員の能力開発やキャリア形成を支援することは、人的資本を育成することにつながります。

一方で、従業員が人種、性別、国籍、宗教、性的指向などの理由で差別やハラスメントを受けることがあると、人的資本の育成が阻害されます。そのため、企業は差別やハラスメントを防止するための取り組みが最優先課題となります。

エンゲージメント:エンゲージメントとは、従業員が自発的に仕事に取り組むことであり、企業の業績にも大きな影響を与えます。従業員が仕事に熱心に取り組むには、労働条件が適切であることや、人間らしい働き方ができることが重要です。例えば、適正な労働時間や休暇、適切な評価と報酬などが挙げられます。

一方で、人種、性別、国籍、宗教、性的指向などの理由で差別やハラスメントを受けると、当然、エンゲージメントが低下します。エンゲージメント向上の施策を考える以前に、人権問題を念頭に、あらゆる差別やハラスメントを防止するための取り組みが必要です。

心理的安全性:心理的安全性とは、従業員が自由に意見を述べ、アイデアを出し合える環境であることを指します。従業員が率直な意見を述べやすい環境を作ることは、企業の業績にも大きな影響を与えます。

一方で、従業員が人種、性別、国籍、宗教、性的指向などの理由で差別やハラスメントを受けると、従業員が自由に意見を述べることができなくなり、心理的安全性が損なわれます。心理的安全性は人権問題との関係性が強く、どちらかではなく、どちらも同時に考慮した取り組みが必要です。

人権問題が企業経営に与える影響は大きく、従業員の不満や離職、企業の評判悪化、訴訟などのリスクにつながることがあります。また、企業が人権問題を放置したり、解決策を見いだせなかったりすると、社会的責任を果たせていないという批判を受けることもあります。

そのため、日本の企業がこうした対応に問題があると指摘される理由の一つに、経営陣の人権問題に対する意識の低さ、取り組みの鈍さが挙げられます。人権リテラシーが低い経営陣の中には、訴訟に発展したら考えればいいと、問題が生じても見て見ぬふりすることもあるようです。

一方で、近年では企業も社会的責任を果たすことが求められるようになり、人権問題に対する取り組みが進む企業も増えてきています。

これまでの日本の経営者の考え方

これまでの日本の経営者の考え方には、従業員のことよりも組織や利益などの目標(数字)を優先する傾向がありました。

また、長時間労働や過剰な労働に対しても、生産性向上や忠誠心の向上などの理由から肯定的に考えるケースも見られました。仕事だから責任持って対処するのが当たり前だと。

このような考え方が、従業員の人権や福利厚生、ワークライフバランスの悪化などの問題を引き起こすことになったわけです。

また、日本企業には上下関係(主従関係)が強く、従業員が上司に対して異議を唱えることが難しいという風潮が長くありました。そのため、従業員が不適切な指示や命令を受けた場合にも、口に出すことができずにそのまま実行することが多かったとされています。例えそれが間違っていたり、法令上不正なことであったりしても。今でも頻発する企業の不祥事の多くは、こうした企業文化が強く影響しています。

さらに、従業員の能力や経験年数に応じて役職や待遇が決まる「年功序列」という文化がありました。これにより、若手従業員が能力に応じて評価されずに待遇が低く、長年勤めている人が能力に見合わない高い地位や待遇を得ることがあるなど、公正な評価がされない問題が発生していました。長く勤めていることを忠誠心の高さの証と評価していた、年功序列の負の遺産でもあります。

これらの問題は、人権問題に対する認識の欠如や、企業の利益優先主義によるものといえます。しかし、近年ではこうした問題に対する認識が変わりつつあり、企業内の人権問題や偏見、差別などに対して、積極的に対策を講じる企業も増えています。

人生100年時代と言われる日本

人生100年時代と言われるこれからの時代の企業経営において、従業員の働き方や生活の質を重視することがますます重要となってきます。

今後、さらに労働力の高齢化が進む中で、社会的責任を果たすことや、従業員の人権や労働条件を守ることが、企業の信頼性や社会的評価に直結すると考えられています。

また、働き方改革の進展によって、従業員が仕事と家庭を両立し、自己実現やキャリアアップができる環境を提供することが強く求められています。そのためには、従業員の心身の健康管理やストレス管理などにもより一層強く取り組むことが必要とされます。

さらに、人生100年時代には、従業員がより長期間にわたって働くことが求められます。そのためには、従業員が長期的なキャリア形成を行えるような環境を整備し、人材の育成や継承を計画的に行うことが重要となります。

つまり、人生100年時代においても、企業経営において従業員の働き方や生活の質を重視した施策を真摯に考え、その内容を常にバージョンアップさせ、幅広い従業員から共感と協働を得ていくことが、今後ますます重要になると考えられます。これが人生100年時代に選ばれる企業の条件でもあります。

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